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明治大学広報
第610号(2009年8月1日発行)
論壇
「グローバル30と法学部の取り組み」
法学部長 高地 茂世
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 7月3日、文部科学省が推進しているグローバル30(国際化拠点整備事業)の拠点校に明治大学が選ばれた。そこでは、留学生30万人計画実現に資する留学生増員計画や、英語による授業のみでの学位取得コースの新設計画などが選定の要件とされていた。

 わが国の法律の多くは、明治維新後の近代国家形成期にフランスやドイツの法律・国家体制を模範として制定され、第二次大戦後にアメリカ法による一部変容を受けてきた。そこでは法律の「ことば」そのものがフランス語やドイツ語の訳語・造語で成り立っており、法律学の研究や先生方の在外研究も、この2ヵ国を中心として行われてきた。英語圏のアメリカやイギリスは判例を主体とした法体系で、制定法主義のわが国とは法体系そのものが異なり、わが国の法制度と英語との直接的な対応関係が取れないことも多々ある。わが国の法令の英語訳についても、政府の手によるものはつい最近までなく、ようやく本年4月1日に、164本余りの法令が「日本法令外国語訳データベース」として標準対訳辞書とともに公開されたに過ぎない。このような状況下で、わが国の国内法の教授を主要なカリキュラムとする法学部教育のなかで、英語のみによる授業で学位を取得できるコースを設置することには、費用対効果の点で躊躇を覚えざるを得ない。

 法学部では、国際的に活躍できる人材育成の一環として、大学全体で行う交換留学プログラムとは別に、2006年度より西シドニー大学との提携のもとでコモンローの理解を深めるための短期サマーセミナーを実施し、単位認定をしてきた。これは、オーストラリアの大学に進学して現地の法曹資格の取得や法律学会通訳・法廷通訳をこなせる有能な人材の発掘・育成を目的とするものであり、同様のプログラムをケンブリッジ大学、シェフィールド大学やハイデルベルグ大学にも拡大すべく、現在交渉中である。将来的には、アメリカの大学にも拡大したいと考えている。

 留学生の受け入れについても、本年度より、新たな留学生の発掘・増大を目指して、わが国の法制度理解を目的とした英語のみによる夏期短期集中セミナーを実施することになっている。これはアジアだけでなく、広く欧米の学生も対象とし、外国の大学との間で双方向セミナーを行うことによる将来的な単位互換協定を視野に入れたものである。

 このように法学部としては、学部の特性を活かした形で国際的に活躍できる人材の育成のために何ができるかを常に考えながら、積極的に大学の国際化に向けて努力していく所存である。



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