第613号(2009年11月1日発行)
特集 2009夏の成果報告
明治大学文化プロジェクト(学生翻訳チーム『コラプターズ』)
学生による翻訳の新しい可能性
文学部3年 中山 亜以 |
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「翻訳とは演出である」という考えのもと、我々コラプターズでは、辞書を片手に訳していくだけでなく、実際に声に出して読んだり演じてみることで、演出の可能性と、より適した、新しい、生き生きした台詞を同時に探るという翻訳方法を採用してきました。
8月1日稽古初日、この時はまだ仮の稽古用台本が使われていました。本来、台本というものは、稽古が始められる前にはすでに完成しているものであって、俳優による台詞の変更など普通は考えられません。ですが、今回の稽古は翻訳の延長のような感覚で始められたため、むしろ俳優には、自ら台詞をどんどん変えていくことが求められました。ふとした俳優の即興の演技から、リアリティ溢れる面白い台詞が生まれることもあれば、ああでもない、こうでもないと、翻訳者を悩ませ続けてきたシェイクスピアの言葉遊びをどう訳すか、皆で知恵を絞ることもありました。そしてついに、夏休みの終わりに上演台本の製本まで辿り着いたのです。
ハムレットと同じ学生としての近い視点から、とにかく従来有り得なかったような『ハムレット』を目指してきましたが、「シェイクスピアに忠実に」をモットーに掲げ、でたらめに訳したことは一度もありません。
『ハムレット』は悲劇のイメージが強いのですが、涙、涙のシーンに負けず劣らず、実は笑えるシーンも満載なのです。ぜひとも、どんな『ハムレット』に仕上がったのか観に来て、泣いて笑って、そしてお気に入りの台詞をひとつ見つけて帰ってほしいと思います。
明治大学文化プロジェクト
明大からの文化発信
「明治大学文化プロジェクト」は、明大からの文化発信と、学生のコミュニケーション能力向上を目的に、学部間共通総合講座「シェイクスピアの現代的魅力」を母体として2004年から始まったもの。校友で文学部特別招聘教授の俳優・原田大二郎氏監修のもと、各分野の専門家の支援を得ながら、出演・演出・制作・衣装・舞台装置など、学生が主体となって行う。6回目を迎える今回は、翻訳チーム「コラプターズ」を結成、初めて学生自らの手で翻訳を手掛けた。
今年の本公演は11月12〜15日。詳細は 公式サイトで公開中。
明治大学文化プロジェクト
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