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明治大学広報
第615号(2010年1月1日発行)
本棚
「世界中のアフリカへ行こう」
中村 和恵 編著 管 啓次郎、旦 敬介 ほか著(岩波書店、1900円)
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 本書は9章からなる「アフリカ」という旅人の旅行記である。しかし、旅を企画したのはアフリカ人ではない。16世紀以降に本格化する大西洋奴隷貿易によってこの旅は始められた。
 強いられた旅は、およそ400年もの長きに渡って続く。その間に、音楽やダンスをはじめとするアフリカ起源の文化は世界中にその足跡を残し、管が言うように、気づけば世界の「だれもが多かれ少なかれ『アフリカ人』になって」しまった(2−5章)。

 さらに、この旅は片道旅行ではなかった。旦が指摘するように、南米からもたらされたマニオクやトウモロコシなどの食物は、今やアフリカの人びとにとってかけがえのない主食である(2−1章)。食物に限らず、世界を旅した「アフリカ系文化」は再びアフリカに還って本家の「アフリカ文化」にも影響を与えているのだ。

 本書で「アフリカ」に関心を持った読者は、ムンシ氏の次の言葉を参考にしてほしい。「ほんとうのアフリカを知るには、自分でアフリカに行ったほうがいい」(1−4章)。そう、今度は読者が旅する番だ。

 溝辺泰雄・国際日本学部専任講師(編著者は法学部准教授、著者は順に理工学部教授、国際日本学部准教授)



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