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明治大学広報
第617号(2010年3月1日発行)
本棚
「かたち三昧」
山宏 著 (羽鳥書店、2800円)
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 「自然は直線を憎悪する」というが、その自然の被造物であるヒトはイデアとして「二点間の最短距離」を求めてきたのではないだろうか? しかし、ヒトの歴史とともに描かれてきた無数のイコンはこうしたヒトのあざとさを木っ端微塵にしてくれる。なぜなら直線はよく見れば、うねくって見えるものなのだ。それはただならぬ覚醒においても、夢うつつのまどろみの中でも等しく同じである。

 かくして、「かたち」は百態を採って我々の前に現れ、矛盾対立物の瞬時連結をしてのけるのである。

 こんな「かたち」の不思議に取り憑かれると、後は一瀉千里、ひたぶるにフィギュラリズムの極北を進むしかない。

 本書『かたち三昧』は八宗兼学の「超人」山宏がその百学連環の圧倒的物量の知を駆使して、「かたち」という「迷宮としての世界」を読み解く一個の快書である。そして同時にヒトと「かたち」の関わりを扱った古今東西の資料の渉猟記でもあるから、著者の知の総覧図ともなっている。味到すべし!

 菊池良生・理工学部教授(著者は国際日本学部教授)



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