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明治大学広報
第621号(2010年7月1日発行)
就任所感
「外部研究資金の獲得と大学院教育の充実」

研究企画推進本部長 土屋 一雄
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 大学評価の指標として、外部研究資金の導入金額、権威ある学会誌や雑誌への投稿論文数がある。数値化されているこれらの値は大学のランク付けには極めて都合が良いこともあるのだろう。その傾向に多少の違和感を抱きつつ、数値の大小が特に大学院教育の充実の程度と密接に関連しているようにも感じている。  

 大学の研究は多くの場合、基礎研究が主体になる。科学研究費等の獲得は、基礎研究を推進する上で有効である。それに加え、教員の指導の下にそれを遂行する大学院生は、基礎研究の手法や目標達成のためのアプローチの方法など、先端的な機器類の操作を身につけながら学ぶ機会を得る。一方、私が行っている自動車メーカーとの共同研究の場合、大学での基礎研究成果を一つの形にまとめ上げる開発研究の形態をとる。研究者としての思考の柔軟性が問われる。実験はその内容に応じて企業の研究所で行うこともある。充実した試験施設・設備を使った企業側スタッフとの共同実験、結果の検討・評価、それらを踏まえた次の実験計画など、研究に参加した大学院生は企業における開発研究のプロセスを具体的に学ぶ。高度専門職業人として社会に出て行く大学院生に対しては、格好の教育の場にもなる。  

 外部研究資金の獲得は、このようにいずれの場合も大学院教育の充実に結びつくことが期待される。それらの成果が、論文や特許の数に反映されることは容易に想像がつく。多くの研究者による外部研究資金の獲得から、大学院教育の充実、成果の発信、その結果として本学評価の向上に至る循環の構築が望まれる。  

 科学研究費等の公的研究資金に関わる本学の支援体制は、上から見ると随分と整備されてきた印象がある。それらの推進に加え、企業との共同研究を含めて、外部研究資金を獲得して実際に研究を行っている研究者の視点に立ったルール整備等も重要である。  

 関係各位の協力をいただきながら進めていきたい。  

 (理工学部教授)



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