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明治大学広報
第624号(2010年10月1日発行)
論壇
農学部の教育・研究
農学部長 早瀬 文孝
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 最近、NHK教育テレビで放送された「こだわり人物伝 植村直己 笑顔の冒険家」を興味深く観た。全4回シリーズで、本学農学部卒業生の植村直己氏がどのように大冒険家へと成長していったのか、同級生の証言を元に迫る感動的内容であった。彼は「人の生きる本当の価値は、お金や肩書きなどではなく、夢を追い求め一瞬一瞬を精一杯生きることにあります」と語り、成功・失敗といった結果よりも、そこへ向かうプロセスこそが大切なのだと訴えている。実際にエベレスト日本人初登頂をはじめ世界初の五大陸最高峰の登頂や、北極点グリーンランド単独行など、世界を驚かせた成功の陰には、数々の失敗と苦闘があったが、彼は常に夢に向かって次の一歩を踏み出し続けた。その偉業は今も人々の記憶に刻まれている。

 農学部の使命は「人間の永続性を追求する」という基本理念にもとづいた食料資源の安定的供給と有効利用、ならびにすべての生物の生存に適した自然環境保全への貢献である。このため本学農学部においては、単なる専門的な知識・技術の修得のみならず、全地球的・全生物的視野に立って巨視的に事象を把握し、人間・生物の生存にかかわる諸問題を解決できる人材を養成することを教育目標としている。

 農学部ではこのような目標を達成するため、自然科学・社会科学に加え人文科学をも包含した教育・研究体制を整備・発展・充実させるべく将来計画を立て、その達成に向け努力している。その中には研究スペースの拡充、研究体制の強化、2012年度に迫った川崎市黒川の新農場開設準備、新カリキュラムの作成、理工学部との共同作業による生田グランドデザインの作成、など多岐にわたる事業が含まれる。さらには、本学部の最新の研究成果を平易に紹介することを目的として広報誌「バイオの散歩道」を定期的に刊行している。内容は農学部のホームページより容易にダウンロード・閲覧できる。

 われわれ教員は学生と共に、誰も見たことのない未知の領域を開拓すべく研究に日夜励んでいる。このような研究は数多くの失敗を伴う「冒険」であり、植村氏の生き方は、研究を志す本学学生に対しても強いメッセージとなって響いてくる。研究には自由な時間と予算、スペースが必須であるのは自明の理であるし、学生が快適に過ごすための環境整備も重要である。もちろん職員の方々の支援無くして大学の発展はあり得ない。教職員が一丸となって学生と共に冒険にチャレンジし、明治大学を世界へと飛躍させたいものである。

(農学部教授)



農学部広報誌「バイオの散歩道」

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