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明治大学広報
第629号(2011年3月1日発行)
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「キケロー裁判弁説の精神史的考察」
角田 幸彦 著 (文化書房博文社、7200円)
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 角田幸彦氏は大著「キケロー裁判弁説の精神史的考察」(全702頁)を公刊された。周知のごとく、氏はこれまでギリシャ哲学およびローマ哲学に関する単著16点を出版されているわが国を代表する哲学者の一人である。

 本書では、ローマ最大の哲学者キケローの裁判弁説の克明な考察を通じて、哲学が単に理論上のものとしてではなく、政治的、法的、さらに修辞的要素を包摂する極めて実践的性質を強くもつもの、しかもヒューマニズムに裏打ちされたものであることが、ローマの政治、文化、心性の全体性においてすなわち精神史的に意味付けられている。そしてそれがヨーロッパ各国の法制度に決定的な影響を与えたことが力強い筆致で描出されている。

 氏はこの3月末をもって明治大学を定年退職されるが、しかし、その主宰する「ローマ精神史研究会」ならびに「十九世紀ヨーロッパ研究会」においてさらに研究活動を拡充され、ギリシャ偏重のわが国における哲学研究のあり方に方向転換をさせる転轍手としての役割を果たされるものと期待している。

鈴木義夫・明治大学名誉教授(著者は農学部教授)



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