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教員紹介

阿部 芳郎(あべ よしろう)

——自己紹介をお願いします

 1959年千葉県生まれです。家の周りに田んぼや野山があり,畑には縄文土器や古銭が落ちている,そんな場所で育ちました。

——昔から考古学者になりたかったのですか?

 小学生の頃は恐竜,昆虫採集(特に蝶類),植物(コケ類),淡水の魚貝類などが大好きで,将来は植物学者になりたいと思っていました。小学校高学年で遺跡の発掘現場を見学したのが,この道に入るきっかけになりました。

——どのようにして大学の先生になったのですか?

 明治大学で卒業論文を書いた時,当時は文化財や博物館の就職もなかったので一般職に就職を考え内定ももらいましたが,指導の先生が大学院への進学を助言してくれたのがきっかけで専門の道を歩むことになりました。大学院で勉強したのちに西日本の国立大学の助手を経験し,その後に母校の明治大学の教員として着任しました。

——現在どんな研究をしていますか?

 日本の歴史は時代や地域が専門領域となっている場合が多いので,今は時代を突き抜く視点を自分では持ちたいと思い,縄文時代の食べ物の種類や加工技術,塩などの生産技術の歴史,漆などの伝統工芸技術などを研究しています。「地中から食卓まで」が今の研究テーマです。また,これらのテーマは考古学だけでは研究が進められない部分もあるので理化学的な分析手法や実験考古学的な手法を取り入れた研究をしています。これらの中には小さい頃の興味が活かされているものもあります。

——受験生へのメッセージ

 小さいころの夢がそのまま叶うという人はとても少ないと思います。わたしは植物学者になりたいと今でも無邪気に思っていますが,考古学を専門に勉強してみて,子供の頃にさまざまな物(とくに自然や生き物)に興味をもったことが,今の研究につながっていると思います。入口はさまざまでも,科学として行きつくところ,目指すものは同じだと思います。
 研究には好奇心・探求心が重要な原動力となるので,さまざまな場所での発見・疑問を大切にして大学での専門的な勉強の場を選んでください。もちろん考古学はその魅力的な入り口の1つであることは間違いありません。