総合講座ⅡB 2008年度後期 木曜 4時限目 コーディネーター 金子光男教授 勝負を自ら職業として選び各界で活躍する講師から、勝負哲学を直に学び、その背後にある人間の喜びと苦痛を学び取るこの講座。読売ジャイアンツ球団代表の清武英利氏や、ギャンブル学の権威で大阪商業大学学長の谷岡一郎氏など、バラエティに富む6人の講師が、それぞれ「勝負」について語った。 取材当日は、日本将棋連盟会長の米長邦男永世棋聖が講義を行っていた。「義経が京で勝った時、戦いに勝つことと人生に勝つことがイコールではない、ということを彼は悟らなかった。これが不幸の元となった。一方、三国志の司馬仲達は『勝たず負けず』の道を選び、孫の代で三国の王となる」。米長氏は、歴史上の人物の勝ち負けの分かれ目や生き方から、勝負の真髄に迫る。 阪田三吉や升田幸三など、個性派揃いの棋士が繰り広げるエピソードも米長氏ならでは。軽妙な語り口調に、教室を埋めた様々な年代の聴講者がぐんぐん引き込まれていく。 この講座は、通常の履修生に加えて学外の人々にも門戸が開かれて開講された。米長氏のホームページで開講を知ったという初老の男性は、「学生たちはみな、きちんとしてまだまだ日本は大丈夫だな、とうれしくなった。大学生と一緒に授業を聞かせてもらって、いい機会だった」と目を細めた。 「勝負学」は学生の心にどのように響いたのだろうか。感想を聞くと「毎回、一流の人から実体験に基づいた話を聞ける絶好の機会。明大に来た甲斐があった」と目を輝かせて話してくれた。このほか、金子光男教授の元に寄せられた感想には 「就職活動の励みになった」 「周りの基準での『勝ちや幸せの価値観』ではなく、自分自身の価値観を持つことが大切と知った」 「『ねたみ・ひがみを持った時、運は尽きる』という米長氏の話に深く頷いた。これからの人生に大きな影響を受けた」 「ギャンブルの神様の話から『負け方を学んで勝つ』視点を持てるようになった」 「清武氏の話から『幸運は用意された心のみに宿る』というパスツールの言葉にあるように、高い目線で強いこだわりを持つことが必要なのだと思った」 「6人の講義を聞き『自分で考え決断すること』『努力を継続し、粘り強く続けること』など共通した考えがあると感じた」 ・・・などなど、受講を通じて今後の人生に少なからず影響を受けた様子が伝わってくる。 金子教授は「講義の中から自分にとって感銘深い一言を引き抜き、今後の自分の人生に役立てたいという感想が多く寄せられた。勝負という、大小いろいろな場面の瞬間瞬間に直面したときの心構えを感じ取られたらしい。企画者として、ありがたいと思った」と笑顔を見せた。 【講義記録】 (1) 10月 9日 清武英利氏 読売ジャイアンツ球団代表 「Serendipity(求めずして思わぬ幸運と巡り合う力)への道-1- 」 (2) 10月16日 清武英利氏 読売ジャイアンツ球団代表 「Serendipity(求めずして思わぬ幸運と巡り合う力)への道-2- 」 (3) 10月30日 谷岡一郎氏 大阪商業大学学長 ※ギャンブル学の権威 「リスク,期待値,そして決断 ―絶対負ける賭け方とは― 」 (5) 11月 6日 古賀慎一郎 潟Aドバネクス特別顧問 「企業人としての勝負哲学について」 (6) 11月13日 大隅 潔 スポニチクリエイツ代表取締役 ※元スポニチ記者 「取材現場で見たプロとアマの違い」 (7) 11月20日 古賀慎一郎 潟Aドバネクス特別顧問 「グローバル世界の中での勝負哲学」 (8) 11月27日 米長邦雄 日本将棋連盟会長 「勝負と人生について-1- 運・不運の分かれ目はどこでつくか」 (9) 12月4日 米長邦雄 日本将棋連盟会長 「勝負と人生について-2- 運・不運の分かれ目はどこでつくか」 (10) 12月11日 米長邦雄 日本将棋連盟会長 「勝負と人生について-3- 運・不運の分かれ目はどこでつくか」 (11) 12月18日 山本 周 フジテレビ報道局次長 「永田町は毎日が勝負」 (12) 1月15日 金子光男 政治経済学部教授 「講座を終えて」 「日本の選択『政権交代可能な二大政党制を日本にも!」 シリーズ授業参観―政治経済学部「総合講座」TOP 前のページに戻る