体内時計が排卵周期を整える新たな神経メカニズムを発見~脳・視交叉上核AVPニューロンからのGABA放出が性周期維持に必須~明治大学農学部・中村孝博教授らの研究グループ
2026年07月09日
明治大学
体内時計が排卵周期を整える新たな神経メカニズムを発見
~脳・視交叉上核AVPニューロンからのGABA放出が性周期維持に必須~
明治大学農学部・中村孝博教授らの研究グループ
~脳・視交叉上核AVPニューロンからのGABA放出が性周期維持に必須~
明治大学農学部・中村孝博教授らの研究グループ
研究成果のポイント
- 明治大学農学部生命科学科動物生理学研究室の中村孝博教授、杉山瑞輝研究員らの研究グループは、哺乳類の体内時計中枢である「脳・視床下部・視交叉上核」からの「γアミノ酪酸(GABA)」による神経連絡が、雌マウスの正常な性周期の維持に重要であることを明らかにしました。
- 特に、視交叉上核における主要な神経細胞集団である「アルギニンバソプレシン産生神経(AVP神経)」からのGABA放出が、性周期の制御に深く関与していることを明らかにしました。
- また、視交叉上核のAVP神経は、性周期制御に関連する脳領域のうち、「前腹側脳室周囲核」へ強く投射していることを発見しました。この結果は、視交叉上核のAVP神経が前腹側脳室周囲核領域を経由して生殖機能の時間的な制御を行う可能性を示唆しています。
- 本研究成果は、体内時計による生殖制御システムの理解を大きく前進させるものであり、将来的に月経周期異常や不妊といった女性特有のリズム障害の基盤解明につながることが期待されます。
1.概要
明治大学農学部生命科学科動物生理学研究室の中村孝博教授、杉山瑞輝研究員らの研究グループは、哺乳類の体内時計中枢である脳内視床下部領域に存在する「視交叉上核注1」からの「γアミノ酸(GABA)注2」による神経連絡が、雌マウスの正常な性周期を維持するために必須であることを明らかにしました。
雌性動物の生殖機能は、視床下部—下垂体—性腺軸と呼ばれる内分泌システムによって制御されています。特に排卵の直前には、黄体形成ホルモン(LH)が急激に分泌されるLHサージが起こり、これが排卵を誘導します。マウスなどのげっ歯類では、このLHサージはいつでも起こるわけではなく、体内時計によってその時刻が厳密に制御されていることが知られていました。しかし、体内時計中枢である視交叉上核が、どのような神経シグナルを介して生殖機能を調節しているのかについては、まだ十分に分かっていませんでした。
視交叉上核には、「アルギニンバソプレシン(AVP)を産生する神経細胞(AVP神経)注3」や「血管作動性腸管ペプチド(VIP)を産生する神経細胞(VIP神経)注4」が多く存在し、これらのシグナル分子を介した細胞間の情報伝達が行われています。また、視交叉上核の神経細胞の多くはGABA作動性神経であり、抑制性神経伝達物質であるGABAを介した情報伝達も行われています。これまでAVPやVIPといったシグナル分子が生殖機能に関与することは知られていましたが、視交叉上核由来のGABAシグナルが性周期の制御に関わるかどうかは不明でした。
本研究では、まずアデノ随伴ウイルスベクター注5と呼ばれる遺伝子改変ツールを用いて視交叉上核のGABA作動性神経細胞を選択的に除去したところ、雌マウスの性周期が乱れることを見いだしました。次に、「GABA放出に必須な遺伝子(Vgat)注6」をAVP神経またはVIP神経で特異的に欠損させたマウスの性周期を解析しました。その結果、VIP神経でGABA放出能力を欠損させたマウスでは性周期が正常に維持されましたが、AVP神経でGABA放出能力を欠損させると性周期が顕著に乱れました。さらに、このマウスの視交叉上核のAVP神経特異的にVgatを再発現させると、乱れた性周期が正常な4~5日周期に回復しました。
加えて、神経投射経路を可視化する実験により、視交叉上核のAVP神経の神経終末が、排卵を促すLHサージの誘導に重要と言われる「前腹側脳室周囲核」のキスペプチン産生神経(KP神経)注7に到達していることが示されました。これらの結果から、視交叉上核のAVP神経から放出されるGABAが、主に前腹側脳室周囲核のKP神経を経由して性周期を安定化している可能性が示されました。
本研究成果は、体内時計が生殖リズムを制御する神経メカニズムの理解を大きく進めるものであり、将来的には月経周期異常、排卵障害、不妊、女性特有のリズム障害などの発症機構の解明につながることが期待されます。
本研究成果は、Journal of Neuroscience誌に2026年6月23日付で掲載されました。
雌性動物の生殖機能は、視床下部—下垂体—性腺軸と呼ばれる内分泌システムによって制御されています。特に排卵の直前には、黄体形成ホルモン(LH)が急激に分泌されるLHサージが起こり、これが排卵を誘導します。マウスなどのげっ歯類では、このLHサージはいつでも起こるわけではなく、体内時計によってその時刻が厳密に制御されていることが知られていました。しかし、体内時計中枢である視交叉上核が、どのような神経シグナルを介して生殖機能を調節しているのかについては、まだ十分に分かっていませんでした。
視交叉上核には、「アルギニンバソプレシン(AVP)を産生する神経細胞(AVP神経)注3」や「血管作動性腸管ペプチド(VIP)を産生する神経細胞(VIP神経)注4」が多く存在し、これらのシグナル分子を介した細胞間の情報伝達が行われています。また、視交叉上核の神経細胞の多くはGABA作動性神経であり、抑制性神経伝達物質であるGABAを介した情報伝達も行われています。これまでAVPやVIPといったシグナル分子が生殖機能に関与することは知られていましたが、視交叉上核由来のGABAシグナルが性周期の制御に関わるかどうかは不明でした。
本研究では、まずアデノ随伴ウイルスベクター注5と呼ばれる遺伝子改変ツールを用いて視交叉上核のGABA作動性神経細胞を選択的に除去したところ、雌マウスの性周期が乱れることを見いだしました。次に、「GABA放出に必須な遺伝子(Vgat)注6」をAVP神経またはVIP神経で特異的に欠損させたマウスの性周期を解析しました。その結果、VIP神経でGABA放出能力を欠損させたマウスでは性周期が正常に維持されましたが、AVP神経でGABA放出能力を欠損させると性周期が顕著に乱れました。さらに、このマウスの視交叉上核のAVP神経特異的にVgatを再発現させると、乱れた性周期が正常な4~5日周期に回復しました。
加えて、神経投射経路を可視化する実験により、視交叉上核のAVP神経の神経終末が、排卵を促すLHサージの誘導に重要と言われる「前腹側脳室周囲核」のキスペプチン産生神経(KP神経)注7に到達していることが示されました。これらの結果から、視交叉上核のAVP神経から放出されるGABAが、主に前腹側脳室周囲核のKP神経を経由して性周期を安定化している可能性が示されました。
本研究成果は、体内時計が生殖リズムを制御する神経メカニズムの理解を大きく進めるものであり、将来的には月経周期異常、排卵障害、不妊、女性特有のリズム障害などの発症機構の解明につながることが期待されます。
本研究成果は、Journal of Neuroscience誌に2026年6月23日付で掲載されました。
2.研究の背景
睡眠・覚醒リズム、体温リズム、ホルモン分泌リズムなど、私たちの体内で起こる様々な生理機能は約24時間周期で変動しています。これは概日リズム、あるいはサーカディアンリズムと呼ばれ、全身に存在する体内時計システムによって調節されています。哺乳類における体内時計の中枢は、脳の視床下部にある視交叉上核に存在しています。
ヒトを含む雌性動物の生殖機能も、体内時計と密接に関係しています。その代表的な例が排卵です。排卵の直前には、卵巣にある成熟卵胞から多量の性ホルモンが分泌されており、この性ホルモンの作用によって、黄体形成ホルモンの急激な分泌(LHサージ)および排卵が起こります。マウスなどのげっ歯類の場合、LHサージおよび排卵は1日の中でも特定の時刻に生じることが知られており、外科的手術により体内の性ホルモン濃度が常に高い状態にあっても、その時刻依存性は残ります。つまり、卵巣からのホルモンシグナルだけでなく、体内時計からの時刻情報が、排卵の引き金となる重要な因子として機能していることが示唆されています。
体内時計中枢である視交叉上核から生殖中枢へ時刻情報を伝える候補分子として、これまでAVPやVIPなどの神経ペプチドが注目されてきました。一方で、視交叉上核の神経細胞の大部分はGABA作動性であるにもかかわらず、視交叉上核由来のGABAシグナルが性周期や排卵の調節に関与するのかについては明らかにされていませんでした。そこで本研究では、視交叉上核のGABAシグナル、特に視交叉上核に存在するどのタイプの神経細胞からのGABAシグナルが、雌マウスの性周期維持に重要であるかを検証しました。
ヒトを含む雌性動物の生殖機能も、体内時計と密接に関係しています。その代表的な例が排卵です。排卵の直前には、卵巣にある成熟卵胞から多量の性ホルモンが分泌されており、この性ホルモンの作用によって、黄体形成ホルモンの急激な分泌(LHサージ)および排卵が起こります。マウスなどのげっ歯類の場合、LHサージおよび排卵は1日の中でも特定の時刻に生じることが知られており、外科的手術により体内の性ホルモン濃度が常に高い状態にあっても、その時刻依存性は残ります。つまり、卵巣からのホルモンシグナルだけでなく、体内時計からの時刻情報が、排卵の引き金となる重要な因子として機能していることが示唆されています。
体内時計中枢である視交叉上核から生殖中枢へ時刻情報を伝える候補分子として、これまでAVPやVIPなどの神経ペプチドが注目されてきました。一方で、視交叉上核の神経細胞の大部分はGABA作動性であるにもかかわらず、視交叉上核由来のGABAシグナルが性周期や排卵の調節に関与するのかについては明らかにされていませんでした。そこで本研究では、視交叉上核のGABAシグナル、特に視交叉上核に存在するどのタイプの神経細胞からのGABAシグナルが、雌マウスの性周期維持に重要であるかを検証しました。
3.研究内容
本研究では、膣上皮細胞の細胞診注8および輪回し活動の観察によって、雌マウスの性周期を解析しました。マウスの性周期は通常4~5日周期で回帰し、細胞診で発情前期と判定されたステージで活動量が増加するため、日々の活動量の変化からも性周期の規則性を評価することができます。
まず、雌マウスの視交叉上核に、細胞死誘導に関わるカスパーゼ3を発現するウイルスベクターを注入し、視交叉上核のGABA作動性神経細胞を選択的に除去しました。その結果、対照群では4~5日周期の規則的な性周期が維持されましたが、GABA作動性神経細胞を破壊したマウスでは性周期が乱れ、活動リズムに見られる性周期の周期性も失われました。これにより、視交叉上核の神経細胞が正常な性周期維持に不可欠であることが確認されました。
次に、視交叉上核の主要な神経細胞集団であるAVP神経とVIP神経に着目し、各神経細胞におけるGABAの役割を調べました。GABA放出に必須なタンパク質である「小胞型GABAトランスポーター」の遺伝子(Vgat)を、AVP神経またはVIP神経で特異的に欠損させたマウスを作製し、性周期を解析しました。その結果、VIP神経でGABA放出能力を欠損させたマウスでは性周期は正常に維持されました。一方、AVP神経でGABA放出能力を欠損させたマウスでは、膣上皮細胞の細胞診で判定した性周期ステージの分布も大きく変化し、輪回し活動に見られる性周期の周期性も失われました。
さらに、AVP神経でGABA放出能力を欠損させたマウスの視交叉上核に対して、Vgat遺伝子を発現するアデノ随伴ウイルスベクターを注入し、視交叉上核のAVP神経特異的にVgatを再発現させました。その結果、乱れていた性周期が正常な4~5日周期に回復しました。この結果は、脳内のAVP神経全体ではなく視交叉上核に存在するAVP神経からのGABA放出が、性周期維持に重要であることを示しています。
最後に、視交叉上核のAVP神経が生殖制御に関わる脳領域の中で、どの領域に投射しているかを調べるため、神経終末を標識可能なウイルスベクターを視交叉上核に注入することで、視交叉上核AVP神経の神経終末を標識しました。その結果、視交叉上核のAVP神経由来の神経終末は、排卵制御に重要なキスペプチン(KP)産生神経が存在する前腹側脳室周囲核に認められました。一方、「性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)産生神経注9」が存在する視索前野や、「RFアミド関連ペプチド3(RFRP-3)産生神経注10」が存在する視床下部背内側核では、同様の近接はほとんど認められませんでした。
これらの結果から、視交叉上核のAVP神経から放出されるGABAが、主に前腹側脳室周囲核のKP神経を経由して性周期を安定化している可能性が示されました。
まず、雌マウスの視交叉上核に、細胞死誘導に関わるカスパーゼ3を発現するウイルスベクターを注入し、視交叉上核のGABA作動性神経細胞を選択的に除去しました。その結果、対照群では4~5日周期の規則的な性周期が維持されましたが、GABA作動性神経細胞を破壊したマウスでは性周期が乱れ、活動リズムに見られる性周期の周期性も失われました。これにより、視交叉上核の神経細胞が正常な性周期維持に不可欠であることが確認されました。
次に、視交叉上核の主要な神経細胞集団であるAVP神経とVIP神経に着目し、各神経細胞におけるGABAの役割を調べました。GABA放出に必須なタンパク質である「小胞型GABAトランスポーター」の遺伝子(Vgat)を、AVP神経またはVIP神経で特異的に欠損させたマウスを作製し、性周期を解析しました。その結果、VIP神経でGABA放出能力を欠損させたマウスでは性周期は正常に維持されました。一方、AVP神経でGABA放出能力を欠損させたマウスでは、膣上皮細胞の細胞診で判定した性周期ステージの分布も大きく変化し、輪回し活動に見られる性周期の周期性も失われました。
さらに、AVP神経でGABA放出能力を欠損させたマウスの視交叉上核に対して、Vgat遺伝子を発現するアデノ随伴ウイルスベクターを注入し、視交叉上核のAVP神経特異的にVgatを再発現させました。その結果、乱れていた性周期が正常な4~5日周期に回復しました。この結果は、脳内のAVP神経全体ではなく視交叉上核に存在するAVP神経からのGABA放出が、性周期維持に重要であることを示しています。
最後に、視交叉上核のAVP神経が生殖制御に関わる脳領域の中で、どの領域に投射しているかを調べるため、神経終末を標識可能なウイルスベクターを視交叉上核に注入することで、視交叉上核AVP神経の神経終末を標識しました。その結果、視交叉上核のAVP神経由来の神経終末は、排卵制御に重要なキスペプチン(KP)産生神経が存在する前腹側脳室周囲核に認められました。一方、「性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)産生神経注9」が存在する視索前野や、「RFアミド関連ペプチド3(RFRP-3)産生神経注10」が存在する視床下部背内側核では、同様の近接はほとんど認められませんでした。
これらの結果から、視交叉上核のAVP神経から放出されるGABAが、主に前腹側脳室周囲核のKP神経を経由して性周期を安定化している可能性が示されました。
4.本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)
女性の健康、妊娠・出産、月経周期の安定性は、社会的にも医学的にも重要な課題です。月経周期の乱れや排卵障害は、不妊症、月経前症候群、月経前不快気分障害、更年期障害、睡眠障害などとも関連する可能性があります。一方で、これらの生理現象が脳内の体内時計によってどのように制御されているのかについては、まだ十分に解明されていません。
本研究は、マウスを用いた基礎研究ですが、体内時計中枢である視交叉上核が、AVPやVIPといった既知の分子以外に、GABAという神経伝達物質が生殖機能を調節していることを明らかにしました。特に、視交叉上核のAVP神経からのGABAシグナルが性周期の安定化に必要であるという発見は、体内時計と生殖機能をつなぐ新たな神経回路の存在を示すものです。
今後、この神経回路がLHサージや排卵のタイミングをどのように制御しているのか、またヒトの月経周期や排卵リズムにも同様の仕組みが存在するのかを検証することで、女性特有の生理機能や疾患の理解がさらに進むことが期待されます。将来的には、体内時計を基盤とした女性の健康管理、妊娠しやすいタイミングの予測、月経周期異常や排卵障害の予防・治療法の開発にもつながる可能性があります。
本研究は、マウスを用いた基礎研究ですが、体内時計中枢である視交叉上核が、AVPやVIPといった既知の分子以外に、GABAという神経伝達物質が生殖機能を調節していることを明らかにしました。特に、視交叉上核のAVP神経からのGABAシグナルが性周期の安定化に必要であるという発見は、体内時計と生殖機能をつなぐ新たな神経回路の存在を示すものです。
今後、この神経回路がLHサージや排卵のタイミングをどのように制御しているのか、またヒトの月経周期や排卵リズムにも同様の仕組みが存在するのかを検証することで、女性特有の生理機能や疾患の理解がさらに進むことが期待されます。将来的には、体内時計を基盤とした女性の健康管理、妊娠しやすいタイミングの予測、月経周期異常や排卵障害の予防・治療法の開発にもつながる可能性があります。
5.用語説明
- 注1 視交叉上核
脳の視床下部に存在する小さな神経核で、哺乳類の体内時計の中枢として働く。睡眠覚醒リズム、体温リズム、ホルモン分泌リズムなど、全身の約24時間周期の生理リズムを統合的に制御している。 - 注2 GABA
γ-アミノ酪酸の略称で、脳内で主要な抑制性神経伝達物質として働く。神経細胞間の情報伝達を調節し、神経回路の活動バランスを保つうえで重要である。視交叉上核のほぼすべての細胞が利用している。 - 注3 AVP神経
アルギニンバソプレシン(arginine vasopressin: AVP)を産生する神経細胞。視交叉上核における主要な神経細胞集団の一つであり、視交叉上核の時刻情報を他の脳領域へと出力する役割を持つと考えられている。 - 注4 VIP神経
血管作動性腸管ペプチド(vasoactive intestinal peptide: VIP)を産生する神経細胞。視交叉上核における主要な神経細胞集団の一つであり、視交叉上核内の神経細胞同士の時刻情報を同期・調節する役割を持つと考えられている。 - 注5 アデノ随伴ウイルスベクター
遺伝子を特定の細胞へ効率よく導入するために用いられるウイルス由来の運搬体(ベクター)。神経科学研究では、目的の遺伝子を神経細胞に導入してその機能を解析するために広く利用されている。 - 注6 Vgat遺伝子
小胞型GABAトランスポーター(VGAT)をコードする遺伝子。VGATはGABAをシナプス小胞に取り込むために必要であり、GABAを用いた神経連絡に必須である。 - 注7 KP神経
キスペプチン(Kisspeptin: KP)を産生する神経細胞。脳内では前腹側脳室周囲核や弓状核に存在し、卵胞発育や排卵といった生殖機能の調節を行っている。 - 注8 膣上皮細胞の細胞診
膣内から採取した細胞を顕微鏡で観察し、性周期のステージを判定する方法。マウスでは、核を持つ上皮細胞が多く見られる発情前期、角化した上皮細胞が多く見られる発情期、白血球が増加する発情後期および発情休止期を区別することができる。 - 注9 GnRH神経
ゴナドトロピン放出ホルモン(gonadotropin-releasing hormone: GnRH)を産生する神経細胞。GnRHを下垂体へ放出することで黄体形成ホルモン(LH)や卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌を制御し、生殖機能の中枢制御に重要な役割を担っている。 - 注10 RFRP-3神経
RFアミド関連ペプチド3(RFamide-related peptide-3: RFRP-3)を産生する神経細胞。視床下部背内側核を中心に存在し、GnRH神経やキスペプチン(KP)神経に作用することで生殖機能を抑制的に調節すると考えられている。
6.特記事項
掲載誌
Journal of Neuroscience
論文タイトル
GABAergic signaling from arginine vasopressin neurons in the suprachiasmatic nucleus is essential for maintaining the estrous cycle in mice
著者
Mizuki Sugiyama, Daisuke Ono, Shota Miyazaki, George E. Bentley, Hiroshi Ito, Michihiro Mieda, Kazuto Watanabe, Wataru Nakamura, Takahiro J. Nakamura
DOI
URL
助成
本研究は、日本学術振興会科学研究費補助金(課題番号:22KJ2847、19K06360、24K10029)および日本医療研究開発機構 AMED-CREST(課題番号:JP24gm2010005)の助成を受けて行われました。
共同研究
本研究は、明治大学、名古屋大学、カリフォルニア大学バークレー校、九州大学、金沢大学、長崎大学との共同研究として行われました。
7.参考図と説明
図1:視交叉上核のGABA作動性神経細胞の除去により雌マウスの性周期が乱れる
(A)実験概要。(B)対照群の性周期。(C)神経細胞除去群の性周期。神経細胞除去群では性周期の乱れが認められた。
(A)実験概要。(B)対照群の性周期。(C)神経細胞除去群の性周期。神経細胞除去群では性周期の乱れが認められた。
図2:AVP神経からのGABA作動性シグナルの欠損により性周期が乱れる
(A)VIP神経でGABA放出を欠損させた個体。(B)AVP神経でGABA放出を欠損させた個体。AVP神経からのGABAシグナルが失われた個体では、性周期の乱れが認められた。
(A)VIP神経でGABA放出を欠損させた個体。(B)AVP神経でGABA放出を欠損させた個体。AVP神経からのGABAシグナルが失われた個体では、性周期の乱れが認められた。
図3:視交叉上核のAVP神経は、前腹側脳室周囲核のKP神経近傍に神経終末を送る
AVP神経終末(緑色)が前腹側脳室周囲核のKP神経(紫色)近傍に分布していることが、全体像、拡大像および三次元画像により確認された。
AVP神経終末(緑色)が前腹側脳室周囲核のKP神経(紫色)近傍に分布していることが、全体像、拡大像および三次元画像により確認された。
- お問い合わせ先
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内容に関する問い合わせ
明治大学農学部生命科学科 動物生理学研究室 中村 孝博 教授
TEL: 044-934-7823(研究室)
FAX: 044-934-7902
Email: takahiro@meiji.ac.jp
HP: http://www.isc.meiji.ac.jp/~chrono/index.html -
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