Go Forward

授業紹介

文芸メディア専攻の代表的な授業を紹介します。
表現・創作Ⅰ・Ⅱ
人間にとって「表現」とはきわめて重要な自己実現のありかたであった。「表現」の歴史を押さえたうえで、「自己実現のための表現」の実践を行なう。モノから始まった日本の「近代」は「精神」に及び、しかし究極は言葉・表現の問題に及ぶ。一方では「制度」の問題として、一方では「実践」の問題として。そのような状況を福沢諭吉・森鷗外・二葉亭四迷・上田万年等々様々な資料を読みつつ整理・検討した上で、「表現」と切実な形で切り結んだ状況を自らに引き寄せた「実践」を試みてみよう。文体模倣・翻訳遊び・虚構の自伝等々様々なメニューを用意している。
文芸メディア演習
インターテクスチュアリテという用語をご存じですか。単なる引用ではなく、あるいは比較文学でも無く、広く文化のテクスト、絵画・地図・都市空間等々非言語テキストも含め、文学テキストがどのように引用されているかということを中心問題に据えたテクスト研究です。本年度はこのインターテクスチュアリテの考え方を中心にテクストを読んでみたいと思います。まず始めにこの考え方を概説的に講義した上で、それぞれの選んだ日本近代文学のテクストを対象とした「演習」発表に入って行きます。
文芸メディア概論
「メディア」とはなにか。人間は他者との繋がりをおいては存在し得ない動物であるらしい。そのような「人間」にとって、個と個を繋ぐ物こそは、その「メディア」なのであった。中においても重要な「メディア」とは「ことば」であったに他ならないが、「映像」や「音」もまた重要な「メディア」なのであった。現代はその「メディア」が多様化した時代と言えようが、人間の歴史とともに存在した様々な「メディア」を史的に押さえながら、そのありようを概論的に捉えてみたい。
日本文芸思潮史
平安朝日記文学と中世日本文学の史的解明を目的とする。平安朝日記文学についてその発生・展開を史的におさえながら、その文学史的な意義を考えたうえで、中世における時代や文化の底流にあって、文芸にも色濃く反映された「中世的なもの」を大きな流れの思潮として取り上げ、それを中世文芸の各作品において検証する。
テクスト研究
虚構だが文学ではない。事実としての文学もまたあるのだが、狭い虚構概念にとらわれて、その種の文学ジャンルはないがしろにされてきた。この講義は文学史で無視されている伝記と自伝をとりあげて(小説を見方によれば虚構化された伝記・自伝でもある)、その意義と面白さを考察するものである。文学が人間を描くものである以上、人間を活写した、すぐれた伝記と自伝は文学になりうるからである。伝記と自伝を総合的(論理的・歴史的)に考察するつもりなので、外国(西洋・中国)のものについても言及し、それとの比較も試みる。