只木 亮哉氏(審査区分:生物系科学)
2025年度DC1採用
在学中の所属:農学研究科生命科学専攻 吉本 光希研究室
(1)学振特別研究員へ申請しようと思ったきっかけ
高校の部活動で研究活動に取り組んでいた経験から、高校3年時にはすでに博士課程への進学を志していました。当時の生物学の先生が博士号をお持ちの方で、進学についてよく相談に乗っていただいていたのですが、その中で「博士課程に進むなら、みんな必ず学振特別研究員に応募するものだ」と教わりました。私はその言葉を信じて、学振特別研究員への採用を目標にしてきました。近年は博士課程学生への支援制度も増え、一概には言えなくなってきましたが、今振り返っても当時の先生の話は今でも核心を突いていたように思います。
(2)学振特別研究員の申請開始時期及び申請を終えるまでの期間について
特別研究員への採用を目指し、私は周囲よりも早い学部生の段階から準備を始めようと考えていました。そこで特に注力したのが研究活動です。特別研究員の採用は審査員の評価で決まるため、読み手の興味を惹くような申請書を作成しなければなりません。
そのためには、根拠となる確かな実験結果はもちろん、学会賞や論文などの実績が不可欠です。これらがあることで、研究計画や自己分析の説得力が格段に増すからです。実績作りには時間が必要ですから、できるだけ早期に行動を開始することが重要だと考えました。また、申請書の書き方には独特の作法があるため、個人的には様々な機会を利用して申請書を提出し、練習を積むことも大切だと思います。
修士課程1年の冬、いよいよ申請書を書くにあたり、私は学振について徹底的にリサーチしました。「どのような人材が求められているのか」「何を書くべきか」といった基礎的な情報の収集はもちろんですが、個人的に重要だと感じたのは、自身の申請区分で「誰が審査し、どのような人が採用されているのか」を知ることです。 これらを把握することで、誰に向けた申請書なのかが明確になり、執筆の方向性や戦略も見えてきます。
次に、具体的な記述方法を学ぶため、先人の知恵をお借りしました。『科研費.com』や、申請書作成のノウハウで著名な大上先生の著書を参考に執筆を開始しました。また、様々な「若手の会」が主催する学振セミナーにも参加し、書き方を学びました。 初稿の完成後は、専門分野外の方を含む多くに人に見てもらい、フィードバックを受けて内容をブラッシュアップしていきました。この推敲と添削には、約1ヶ月半を費やしました。
(3)申請書作成時の留意点、苦労話、採用につながったと思うポイント等
これは論文ではなく、申請書ですので他の申請書との優劣で採用不採用が決定されます。ですから、審査員に向けた文章を書くことを最も意識しました。特に、審査員は大量の申請書を読み素早く評価しなければなりません。そのため、どんな分野の審査員であっても面白いと言ってもらえるのか?視覚的に読みやすい構成になっているか?などを特に意識しました。
(4)特別研究員になって良かったと実感したこと
最も大きかったのは、金銭的な安定と、それに伴う将来への不安が軽減されたことです。明治大学では、特別研究員に採用されると学費が全額免除となりますし、毎月の研究奨励費も支給されるため、生活の基盤が整い、将来設計がしやすくなりました。 また、過去の採用者の多くが常勤の研究職に就いているという事実は、博士号取得後の進路に対する不安を大きく和らげてくれました。 加えて、毎年6月に開催される「フレンドシップミーティング」に参加し、様々な分野の研究者と交流できたことは、私にとって思いがけない僥倖(ぎょうこう)でした。
(5)特別研究員を目指す本学大学院生へのアドバイス
日本学術振興会特別研究員への採用は、若手研究者の登龍門であり、同時に多くの人にとっては、本格的な研究申請書を書く初めての経験になると思います。 自らの研究構想を一つの書類にまとめ上げることは、そのプロセス自体に大変な価値があります。最後の最後まで諦めず、自分が納得できる申請書を練り上げる粘り強さが何よりも大切です。 今後、学振申請に挑戦される皆様のご健闘を心よりお祈り申し上げます。

