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教育開発・支援センター

NHKドキュメンタリーを用いた初年次教育プログラム 戦後70年を見すえて-戦争と平和-

2013年10月28日
明治大学

○プログラム
第1回 2013年11月13日(水)「日中戦争~なぜ戦争は拡大したのか~」
(2006年[平成18年]2月9日放送) 芸術祭テレビ部門大賞受賞

第2回 2013年11月14日(木)「日本海軍 400時間の証言 ~第2回 特攻"やましき沈黙"」      
(2009年[平成21年]8月9日放送) 芸術祭テレビ部門優秀賞受賞

第3回 2013年11月15日(金)「原爆投下 活かされなかった極秘情報」
(2011年[平成23年]8月6日放送) 芸術祭テレビ部門優秀賞受賞、ヒューゴ・テレビ賞奨励賞受賞

第4回 2013年11月18日(月)「シリーズ アジアと太平洋戦争 第一回ジャカルタの一番熱い日~インドネシア独立戦争~」
(1991年[平成3年]8月12日放送) 放送文化基金賞企画賞受賞、ギャラクシー賞奨励賞受賞

第5回 2013年11月19日(火)「日本国憲法誕生」
(2009年[平成21年]4月29日放送) 芸術祭テレビ部門最優秀賞受賞

会 場:明治大学 和泉図書館1階ホール(東京都杉並区永福1-9-1)
上映開始時間:いずれの回も18時30分より(開場は18時から)
いずれの回にも、ドキュメンタリー作品終了後、当該作品のプロデューサーなど番組制作者による講演があります。

主 催:明治大学教育開発支援センター
協 力:NHKエンタープライズ、NHKアート

※本プログラムは教育プログラムのため、参加者は教員・職員を含む学内の方のみに限定されております。

ポスターはこちらからご覧いただけます。

問い合わせ先:明治大学和泉教務事務室(電話03-5300-1135)


○NHKドキュメンタリーによる初年次教育プログラム開催にあたって
今回、NHKドキュメンタリーという「映像」の連続上映プログラムを企画しました。本プログラムの目的は大きく2つあります。

第1は、明治大学で学ぶ皆さんに、日本の現代史を学ぶ1つのきっかけを作ることです。ドキュメンタリーという映像作品を通じて、日本の現代史に足を踏み入れてみませんか。2015年、あと2年余りたつと、日本は「アジア・太平洋戦争」の敗戦から70年目を迎えます。現在日本社会では、1945年8月に終了した戦争のことを「戦後」とか「あの戦争」と表現されることが多くなり、1つの歴史の節目としてとらえています。しかし、皆さんは、「あの戦争」をどのように記憶し、理解していますか。

第2は、ドキュメンタリー作品に代表される「映像」が持つ魅力とその可能性を考えてみたいと思います。文字、話し言葉、音楽など、私たちは様々な方法で、自己表現をすることができます。映像もまた、自己表現の1つの方法です。

今回、上映作品のプロデューサー(当時)など当該作品の関係者をお招きしました。作品上映後、作品を作った側、作品を見た側との間で「キャッチボール」をしたいと思います。そのことを通じて、作品への理解を深めるとともに、映像が持つ魅力と限界を考えてみたいと思います。
なお、上映作品に関連する書籍や資料を和泉図書館ホール横のギャラリーで展示しています。今回の映像を手掛かりに、和泉図書館という「知の森」へ分け入ってください。

                                           プログラム・コーディネータ
                                           教育開発支援センター副センター長(商学部)
                                           鳥居 高

○各回概要
第1回 2013年11月13日(水)「日中戦争~なぜ戦争は拡大したのか~」
(2006年[平成18年]2月9日放送) 芸術祭最優秀賞
講演者:東野真(現・NHK制作局文化福祉番組部 チーフプロデューサー)
【作品概要】
日中戦争を物語る重要な資料が公開された。中国国民政府主席、蒋介石の日記である。日中戦争を世界戦争へと連動させる国際戦略が浮かび上がる。これに対し中国の真意と力を読み違えた日本。日中戦争をアメリカ・ドイツも含めた国際的な視野からとらえなおす。

第2回 2013年11月14日(木)「日本海軍 400時間の証言 ~第2回 特攻"やましき沈黙"」 
(2009年[平成21年]8月9日放送) 芸術祭最優秀賞
講演者:右田千代(現・NHK大型企画開発センター チーフプロデューサー)
【作品概要】
人の体を兵器代わりにする"特攻作戦"。これまで現場将兵の熱意からはじまったとされていたが、「海軍反省会」では「軍令部」が組織的に計画していたことが明らかにされた。誰もがあってはならないとしながらも、なぜ「特攻」は推し進められたのか。空気に流されていく組織の姿を浮き彫りにする。

第3回 2013年11月15日(金)「原爆投下 活かされなかった極秘情報」
(2011年[平成23年]8月6日放送) 芸術祭テレビ部門優秀賞受賞、ヒューゴ・テレビ賞奨励賞受賞
講演者:松木秀文(現・NHK報道局チーフディレクター)
【作品概要】
日本にとってまったく想定外の奇襲とされていた原爆投下。実は陸軍の諜報部隊が米軍の動きを事前に察知し、上層部に伝えていた。しかしその情報は現地に伝えられず、無防備な市民が犠牲になった。それはなぜか。新資料や証言から真相に迫る。

第4回 2013年11月18日(月)「シリーズ アジアと太平洋戦争 第一回ジャカルタの一番熱い日~インドネシア独立戦争~」
(1991年[平成3年]8月12日放送)放送文化基金賞企画賞受賞、ギャラクシー賞奨励賞受賞
講演者:角英夫(現・NHK大型企画開発センター「NHKスペシャル」事務局長)
【作品概要】
アジア・太平洋戦争終結直後、インドネシアではスカルノを中心とする独立派がインドネシア独立宣言をした。終戦からわずか72時間のうちに宣言を発した独立指導者たちのたぐいまれな政治感覚と彼らに協力した日本人達の息詰まるドラマを描く。

第5回 2013年11月19日(火)「日本国憲法誕生」
(2009年[平成21年]4月29日) 
講演者:塩田純(現・NHK大型企画開発センター エグゼクティブプロデューサー)
【作品概要】
日本国憲法の施行から60年。第9条や国民主権の条文はどのように生まれたのか。憲法誕生の舞台裏を最新の資料と証言で追跡。GHQと日本政府の交渉、さらに極東委員会の議論を再現。日本人による修正追加とそれを中止した国際社会を描く。


○上映作品にかかわる推薦図書一覧
 上映されたドキュメンタリーを手がかりに、図書館という『知の森』をめぐってください。その際のちょっとしたガイドとして…

・江口圭一『十五年戦争小史〔新版〕』青木書店(1991年)
→満洲事変からアジア太平洋戦争の原因・経過・結果をバランスよくまとめた、また歴史の基礎知識、加害・被害の実像を知るうえで大変に読みやすい本

・加藤陽子『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』 加藤 陽子 朝日出版社 (2009年)  
・加藤陽子『 NHK さかのぼり日本史(2)—昭和 とめられなかった戦争』NHK出版 (2011年)
→平易な文章で、なぜ戦争になったのかを問いかける本です。

・小森陽一『天皇の玉音放送』 (朝日文庫) 朝日新聞出版 (2008年)
→皆さんは、1945年8月15日正午に放送された玉音放送の『全文』を聞いたことがありますか?

・佐藤卓己『八月十五日の神話 終戦記念日のメディア学 』ちくま新書  筑摩書房 (2005年)
→終戦の日をマスメディアがどのように伝えてきたのでしょう。日本現代史研究としても、マスメディア研究としても必読。

・山田朗他『登戸研究所から考える戦争と平和』芙蓉書房出版 (2011年)
・山田朗編『陸軍登戸研究所“秘密戦”の世界—風船爆弾・生物兵器・偽札を探る』明治大学出版会 (2012年)
→明治大学生田キャンパスには、かつて登戸研究所がありました。現在平和研究所として、一般公開しています。生田キャンパスの登戸研究所へ行ってみよう、
★山田朗先生は本学文学部日本史専攻の専任教授です。

・吉田裕『昭和天皇の終戦史』 (岩波新書)岩波書店 (1992年)
吉田裕『日本人の戦争観—戦後史のなかの変容 』(岩波現代文庫) 岩波書店 (2005年)
→昭和天皇と戦争、戦後の日本人の戦争観、大きな問題に平易な日本語で、明晰に分析しています。

このほかにも『岩波講座 アジア・太平洋戦争』『シリーズ 戦争の経験を問う』(共に岩波書店)等、近年の研究成果はたくさん!