総合政策担当副学長 浜本 牧子
本学は、創立150周年を見据えて策定した『グランドデザイン2030』ならびに第3期中期計画に基づき、研究活動の活性化、研究力の強化および研究成果の社会還元を推進するため、研究支援体制・研究環境の整備を進めています。研究の活性化は、教育の質向上にもつながることから、教員一人ひとりの研究活動が円滑に行われるよう支援していくことは、教育研究機関として必須のことです。一方、国内外における本学のプレゼンス向上という観点からは、研究の国際化・大型化を推し進めることも必要です。
学長室では、研究の国際化・大型化を推進する施策として、研究活動に付随し、研究者の過重な負担になっている周辺業務を担うリサーチ・アドミニストレーター(URA)の導入とその活動拠点となるセンターの設置に向けて、学内機関や研究者へのヒアリング、他大学の先行事例の収集を行い、本学におけるURAの役割等について検討を重ねてまいりました。このたび、明治大学研究・知財戦略機構の下に、「明治大学リサーチ・アドミニストレーションセンター(URAセンター)」を設置することになりましたのでご報告いたします。
URAは、研究の伴走者として、競争的外部資金の獲得支援、研究戦略の企画・立案、共同研究や産学官連携の促進、国際共同研究の展開など、多面的に研究活動を支える、高度な専門性を有する研究支援人材です。大学の研究力強化に資する人材として、文部科学省が2011年頃からその育成に乗り出し、2023年度の調査では、約1,800人が全国の大学等で活躍しています。私立大学においては、86大学で、大学ごとに数名から十数名のURAが配置されていることが報告されています。
本学にURAを導入するにあたり、考慮すべき最も重要な点の一つとして、本学におけるURAの必要性を、多様な研究スタイルおよび研究支援対象の両観点から検討を行いました。その結果、URAによる支援は、必要とされる領域から段階的に整備していくことが適切であると考えられました。現時点において、本学で具体的に想定される主な支援は、「競争的外部資金の獲得支援」、「国内外機関との連携・共同研究の推進支援」、「研究環境維持・向上のための諸施策の推進支援」、「獲得したプロジェクトの評価対応などの支援」、「研究に関する発信力強化支援」などです。
今後の重要な検討課題の一つとして、URAと、これまで主に行政手続や研究費の予算管理・経費執行などの実務を担ってきた事務職員との業務連携の在り方が挙げられます。両者が協働し、それぞれの専門性を活かすことにより、大学全体としての研究支援体制がより強固で一体的なものへと発展していくと考えられます。
最後に、URAの導入とURAセンターの設置は、研究力の一層の強化と研究支援体制の充実にとどまらず、一人ひとりがいきいきと充実感をもって活躍できる教育研究環境の整備を通じて、ウェルビーイングの向上にも寄与することが期待されます。