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学長室

第60回全国校友香川大会 記念式典 祝辞

2024年09月29日
明治大学 学長室

 皆様、こんにちは。
 第60回全国校友大会がここ高松市において、図子支部長・実行委員長をはじめ、香川県支部の皆様のご尽力により、そして、国内外の各地からの多くの校友の皆様のご参集により、かくも盛大に開催されますことを心からお祝い申し上げます。
 
 私は、本年4月に学長に就任いたしましたので、このような場でご挨拶させていただくのは今回、初めてなのですが、昨年の愛知大会には法学部長として参加させていただきました。これも初めての機会だったのですが、多くの校友の皆様の母校を思うお気持ちの熱さに、本当に圧倒されました。
前職当時、様々な大学を卒業した人達と働くなかで、私も、社会の大学に対する評価は一人ひとりの卒業生の各地での活躍と母校愛に係っていると漠然と思っていたのですが、会場の熱気の中で、ここにその熱源があったか、と実感しました。
 それ以来、来年は香川だな、と大いに楽しみにしていました。ということで、本日、このように盛大に式典が挙行され、懇親会が実施されることを、自分事のように嬉しく、そして、ご招待いただきましたことを、大変ありがたく、思っております。
 
 私は、約半世紀前の1976年に法学部に入学しました。大学などない地方の小さな町から上京してきた私にとって、高校とは比較にならない和泉キャンパス、当時は、和泉校舎と言いましたが、その広さと建物の多さ、そして、学生の多さは本当に驚くばかりでした。しかし、そんな中でも、不思議と居心地の良さを感じてました。なによりも、全国各地から集まってきた、自分と同じような境遇の学生たちが沢山いたことが一番の理由だったように思います。最初に仲良くなったクラスの友達4人は、青森の弘前、愛知の犬山、福岡の直方、それと唯一実家の埼玉でした。彼らの下宿先で飲んで泊まったり、帰省に付いて行ったり。大学というのはこういうものだと思っていました。
 ところが、その後、2003年に裁判所から法学部に転じて、以来、犯罪学、少年法などの科目を担当してきましたが、この間、約20年、みるみる地方出身の学生が減ってきていることがひしひしと感じられます。今年度、授業を担当している3年と4年のゼミの学生は合計40人いるのですが、この中に、本州以外の出身者は一人もいません。そもそも自宅外の学生が圧倒的に少ないのです。
 これはまずいのです。国内外の各地から多様な歴史的、文化的背景を持った学生が集まって刺激し合って切磋琢磨するキャンパスなくして、つまり、多様性を失ったキャンパスにおいて、「MEIJI VISION 150」に示した「個を磨き、ともに持続可能な社会を創る」、そういうことのできる学生を育てることは至難の業です。つまり、明治大学が首都圏にはあるもののただのローカル大学になってしまっては、これまでのように、「権利自由、独立自治」の旗を翳し続けて、社会の変革を牽引し、多くの優れた人材を国内外に送り出すことが、難しくなりかねないのです。
 明治大学は、地方出身者を増やし、再び全国型大学とならなければなりません。そのために、大学も地方出身学生を増やすべく様々な工夫をしていますが、やはり何と言っても、学生への経済的な支援が最も重要なポイントになります。その意味でも、校友会の「つなげ!紫紺の“たすき”」や「前へ!」の奨学金の制度は大変有り難いものです。それと同時に、冒頭申し上げましたが、校友の皆様が、それぞれの地域と分野で大いに活躍されることが、ひいては、明治大学のプレゼンスを高め、「行くなら明治大学へ」、そして、「明治大学へ入りたい・入れたい」という環境の醸成につながるのだと思います。
 
 引き続き校友の皆様の母校への温かいご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げますとともに、皆様の一層のご活躍をお祈り申し上げまして、結びとさせていただきます。
 
 本日は、誠におめでとうございます。