2025年02月09日
第27回ホームカミングデー 記念式典 学長挨拶
2024年10月27日
明治大学 学長室
皆様、こんにちは。
本年4月に学長に就任いたしました上野正雄でございます。どうぞ宜しくお願いいたします。
本日、校友代表の6名の皆様をはじめ、このように多くの校友の皆様やご家族の方々が、明治大学ホームカミングデーにお越しくださいましたこと、心より感謝申し上げます。大変ありがとうございます。
リバティタワーの竣工を機に始まったホームカミングデーも、今年で27回目を迎えました。
私は、駿河台に記念館のあった1980年に法学部を卒業し、リバティタワーがすでに供用されていた2003年に教員として明治大学に転職してまいりました。学生時代を過ごした約半世紀前のことは言うまでもなく、転職後の約20年を振り返るだけでも、明治大学の変貌は本当に驚くばかりです。和泉キャンパスは、趣のあった図書館が新しくなり、モダンな第二校舎のあとにラーニングスクエアが建ち、中野には新しい学部と新しいキャンパスができ、生田キャンパスでは、来春、新しい校舎「センターフォレスト」の供用が開始されます。駿河台キャンパスでは、明治大学100年の計ともいえる大規模な施設整備計画がもうすぐスタートします。そして、学生達の気質も、私が法学部で担当してきたゼミや講義で見る限り、この20年だけでも大きく変わってきていることを実感しています。
皆様も、それぞれの様々なご経験から、明治大学の変貌を実感されていらっしゃることと存じます。その中には、昔の方が良かったのに、と思われることも少なからずあることと思います。私自身もそのように思うところもあります。
しかし、大学としての社会的責任を負って、教育研究の進歩を先導していくべく、施設や環境を整備していくことは、不可欠のことです。
また、学生の変化も含めて大学を取り巻く社会の変化に対応するべく、さらには社会の変革を牽引するべく、大学そのものが変わっていくことは不可避のことです。
しかし、この変貌は、野放図な変貌ではありません。筋の通った変貌です。その筋はなにか。「権利自由、独立自治」です。
江戸時代が終わってほんの十数年後、封建社会から近代社会へと世の中が大きく変わる時にかざされた「権利自由、独立自治」の旗がどれほどインパクトのあるものだったか、そして、明治憲法下の国家統治が長く続く中で、一私学が、この旗をかざし続けることがどれほど難しく危険なことだったか。しかし、それを明治大学はかざし続けたのです。その旗の下で、例えば、「虎に翼」でも描かれたように、女性の法曹界進出という社会の変革を先導し、牽引したのです。
つまり、靴やユニフォームの素材もデザインも、周囲の風景も、そして、走る人そのものがどれほど様変わりしようと、繋ぎ続けられる紫紺の襷は、これまでもこれからも、変わらず、「権利自由、独立自治」なのです。
それが私学としての明治大学そのものであり、明治大学の歴史です。
この明治大学を、そして、明治大学の歴史を支えてくださるのは、校友の皆様です。卒業生が評価されない大学に未来はありません。
現在の明治大学は、35,000人の学生と60万人の校友を擁する大学です。社会に「権利自由、独立自治」を実現すべく創立された1881年当時と比べて一体何万倍になっていますでしょうか。「権利自由、独立自治」を実現する担い手が何万倍にもなっているということです。
皆様お一人おひとりが明治大学で受け取った紫紺の襷をしっかりと持ち、それをより大きく鮮やかなものにして次代に引き継いでくださるよう、お願いいたします。
私自身、今日は、ホームカミングデーにわざわざ足を運んでくださった多くの皆様とこうしてお会いし、そして、卒業10年目から60年目までの節目の校友代表の方々の貴重なお話をお伺いする中で、私の紫紺の襷がほころびていないか、くすみ始めていないか、しっかりと見直すつもりです。
結びになりますが、あらためまして、本日は、ここ白雲なびく駿河台の地にお運びくださいまして、誠にありがとうございました。