明治大学
English Korea Chinese Chinese 交通アクセス お問い合わせ サイトマップ
明治大学TOP > 明治大学広報 > 第603号(2009年1月1日発行)
明治大学広報
第603号(2009年1月1日発行)
2009新春座談会
今後の大学を取り巻く環境
明治大学広報TOPへ
米山 国立大学の法人化や少子化の問題など、今後大学を取り巻く環境はどのように変化していくのでしょうか。

中村 私立大学は今、志願者が集まる大学とそうでない大学と二極分化しています。2008年の入試では、私立大学の志願者総数のうち4割を明治を含めた15大学が占めています。つまり15大学は完全に勝ち組で、一方全く集まらない大学があるという状況です。この状況はますます続くと思いますし、この15大学の中でもおそらくランク付けが始まるのではないでしょうか。

米山 そのような環境の中で、明治大学はどのように舵を切っていったらいいのでしょうか。

中村 『大学ランキング』で明治大学の項目をいくつか抜き出してみました。目立つのは志願者数の増加です。03年と07年を比較してどのくらい増えているかという数字では全国で3位です。大学の規模で言うと全体の学生数が全国で5位。意外に感じたのは、ブランド力という項目です。受験生や企業を対象に調べているんですが、明治大学は16位なんです。ブランド力とひと言で言ってもいろんな要素がありますが、もう少し上位でもいいんじゃないかという気がします。それから、各大学の学長が評価する「研究面・教育面で注目している大学」では、明治は上位にいません。一方、高校の先生が評価する「生徒にすすめたい大学」では16位、また「最近10年で良くなった大学」で9位に入っています。ここの部分は非常に評価が高いと言えると思います。冒頭で言ったように、最近動きが目立っているということだと思います。それから明治大学は科学研究費補助金や外部資金の額などを見ると上位に名前が出てきません。ですから、理系、特に研究面はもっと力を入れていかなければいけないという気がします。

米山 明治大学の知名度は高いと思うんですが、ブランド力が16位ということですか。

中村 もう一つは、我々の評価指標の中でメディアへの発信度という調査をやっています。例えば新聞の文化欄やオピニオン誌にどこの大学の先生がどれぐらい書いているか、新書を出した先生の所属する大学は、という形で調べているんですが、明治は以前に比べると下がっています。最新の『大学ランキング』では齋藤孝先生(文学部教授)1人だけです。かつては特に文系にそうそうたる人たちがいたんですが。もっとも国際日本学部に外部から著名な方が来ていますので、これから変わるかもしれません。

米山 小林さんはどのようにお考えですか。

小林 受験生人口などのマクロ的な話をさせていただくと、18歳人口や大学受験者数は、今年度以降10年ほどは微減から横ばい状態とみられますので、大学改革の成果を定着できるチャンスだと思います。明治大学はもともと“全国型大学”の性格を持ち、今も積極的にそれを目指している大学だと思いますので、地方への浸透度が重要になってきます。全学部統一入試では多くの受験生を集めていますが、学内併願も多いと聞いています。ですから、今後は実志願者の増加と定着率の向上、それからブランド力を強化するためにも、全国各地域に強力な“明治大学シンパ”の拠点を作らないといけない。最近、関西地区で盛んに行われている提携校や「明治大学進学コース」といった高大連携のしくみを、首都圏のみならず地方に立ち上げたり、明治大学の志願者数が特に多い重点都市に付属校や系属校を新設したりするのも、地方への浸透度アップを図る一つの手ではないかと思います。

米山 明治には付属校が3校しかなく、そういう意味でも今後付属校を増やしていくのかどうかという問題があります。坂口さんはどのようにお考えでしょうか。

坂口 現在私立大学は約580あります。受験人口は当分の間約70万人はいるだろうと考えられています。70万人という数字は70年代前半と同じです。当時の私立大学の数は290ですから、現在の半分の規模だったわけです。半分の規模であれば競争が成立する入試ということは、580のうち半分は競争入学大学で、あとの半分が開放入学大学ということだと思います。ただ、70年代でも競争倍率が1・0倍という大学もありましたから、シビアに考えれば、580のうちの3分の1が競争を続けていく大学ということになります。

米山 70年代は地方も含めて国立大学にけっこう学生が集まりましたが、最近は法人化などもあって特に地方の国立大学は受験者が減って大変苦しい状況になっています。

坂口 旧帝大系の中でもばらけつつあると言っていいと思います。東大、京大、一橋大ぐらいが難易度を保っていて、ほかは少しずつ易しくなってローカル大学化しつつあります。例えば東北大学などは、かつて全国から学生が来ていたのが、いまは東北中心の大学になりつつあります。北海道大学も、かつては道内出身者が5割を切っていたのに、今は5割を超えています。そういう意味では、全国から学生を集めないと本当の意味でトップにはなれません。それから、現在ものすごく経済状況が変わっています。今まで就職状況が良くて決定率が90%以上という大学が数多くあったのが、ばらけてくる可能性があります。そこで、各大学が決定率を下げないように必死に努力するんだと思います。明治は就職に強いというメージがありますので、そういう点は非常に有利だと思うんです。明治大学は昔から就職指導をやってきましたが、ほかの大学はやっていなかったんです。そこが全部変わってきていますから、非常に厳しいけれども、チャンスにすることもできる。そういう時代になってくるんじゃないかなと思います。

米山 明治は昔から就職指導に非常に力を入れています。そういう関係のノウハウもデータも蓄積されていますので、就職状況はおかげさまで高い水準を維持しています。



明治大学の評価
今後の大学を取り巻く環境
トップユニバーシティを目指すためには
最後に


前のページに戻る

 
ページ先頭へ

© Meiji University,All rights reserved.