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明治大学広報
第603号(2009年1月1日発行)
2009新春座談会
トップユニバーシティを目指すためには
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米山 明治大学がトップユニバーシティになるためにはどうしたらいいのか、ご意見をお聞かせいただければと思います。

中村 どの方面でトップユニバーシティを目指すのか。あらゆる面でトップユニバーシティを目指すのか、それとも研究大学として世界と勝負をするのか、あるいは面倒見のいい教育ということで他大学には負けないトップユニバーシティを目指すのか。大学の役割は教育・研究のほかに、社会貢献、人材の輩出などいろいろありますから、その中でどの面でトップユニバーシティを目指すのかによって、おのずから課題は出てくると思います。スポーツでもトップユニバーシティを目指そうということであれば、これはいろいろな手を打たないといけないでしょう。大学にとってスポーツのあり方というのは、非常に難しい問題だと思いますが、やはり明治はスポーツが強いというイメージがあるので、強化するのであれば入試方法も含めて対策が必要だと思います。

米山 スポーツに関しては、ラグビー、野球、駅伝の3つを強化部に指定して、ある程度の支援をするような形はとっています。スポーツ関係の入試方法や奨学金も改革しました。すぐに成果は出てこないと思いますが、3、4年後には良くなってくるのではないかと期待しています。

小林 トップユニバーシティという言葉からイメージされるのは中央教育審議会の答申『我が国の高等教育の将来像』(05年1月28日)に出てくる高等教育の諸機能のうち、「世界的研究・教育拠点」「高度専門職業人養成」「社会貢献機能」ですが、こうした機能を明治大学は担うべく、将来像を構想されていると思います。ただ、「世界的研究・教育拠点」という意味合いからすると、先日発表された『タイムズ』紙の世界大学ランキング上位500位の中に明治は残念ながら入っていません。これは、評価基準として理工系や医学系の研究成果が重視されやすいという事情が大きいと思います。実際、日本の大学では500位以内に29大学が入ってますが、そのうち23大学が医学部を有しています。

米山 早稲田や東工大も入っていると思いますが。

小林 そうした医学部のない大学も6校あり、今後明治がその中に入ってくる可能性は十分あります。リスクは高いかもしれませんが、理工学部や農学部でこれから世界的に芽が出そうな研究に対しては積極的に支援を行うといったことも必要かと思います。

米山 早稲田は理工学部が非常に大きく、慶應は医学部を持っています。明治は理工学部と農学部はありますが、理系がまだ弱い面があるので強化していきたいと思っています。

小林 もう一つ、大学の改革はある意味で“原点回帰”を求められると思うんです。明治大学の始まりは、そもそも法律学校でした。現代の法化社会では、法学部出身者でなくても法律的な素養が求められます。理工学部では特許申請であったり、文学部では著作権の問題であったり、日常的に法律に直面せざるを得ない状態になっています。裁判員制度も始まりますし、原点に立ち返るという意味で、法学部のみならず全学部で法学教育を徹底してみてはどうかと思います。もちろん各学部の特性に応じた内容で行う必要はありますが。

米山 例えば農学部の生命倫理学ではやはり法学部の先生と一緒になって研究していかなければできませんので、もう少し総合大学としての特色を生かして学部間の壁を低くし、共同研究できるような形にしていければと思っています。

坂口 研究を否定するわけではないんですが、受験生の大学選びと研究レベルというのは、東大や京大は別ですが、一般の大学ではあまり関係ないんです。失礼な言い方をすればスポーツと同じで、その大学の広告にはなるけれども直接受験生の増加には直結しない。ただ、長期的に見ればもちろん効果はあります。私は研究よりも教育に力を入れるという手もあると思います。大学の教育は大まかに2通りあると思うんです。学部ごとに教育をやっていく方法。これは私立大学に多い。明治大学もそうでしょう。一方、学部の教育の前提として教養教育をやるという方法。これは東大型あるいはミッションスクール型と言ってもいいかもしれません。立教や青山学院でもやっています。明治大学でも各学部が協力して幅広い科目を提供するということが魅力になるんじゃないかと思います。早稲田大学も外国語教育については全学的な「早稲田メソッド」というような学生4人に外国人1人がついて語学力の向上をはかるということをやっています。

米山 留学生を多くするにはどうすればいいでしょうか。

中村 明治は外国人留学生の数は12位なんですが、留学生の派遣数ではランキングに出てきません。外国に出ていっている学生の数が少ないんです。

坂口 立教や青山学院は「英語がうまくなりそうだ」というイメージがあります。実際に大学でそういうシステムをとっていますから、英語の能力も上がるし、それを目指す人が来る。明治大学はそこがまだ未整備だと思われていますから、そもそも留学したいという人たちが来る割合が少ないんです。

米山 おっしゃるとおりだと思います。ただ、国際日本学部においては多くの学生が海外留学するようになるものと期待しております。

坂口 すべての学部の学生にある程度の英語力をつけていくということが、これから必要になってくると思います。

米山 明治は文系の1・2年の授業を和泉校舎で行っていますので、全学部的な教育をやろうと思えば比較的やりやすい環境にあります。

中村 坂口さんのご指摘のとおりだと思うんですが、学部教育というのは基本的に教養を身につけるという方向に向かっています。明治大学を卒業すればどの学生も基本的な教養は身についている、企業が求めているのはそういう部分ですから、そこに徹するという考え方も一つだと思います。

坂口 明治大学が就職に強いというイメージをさらに強固にするには、やはり教養教育だと思います。

小林 たぶんそれが、明治が標榜する「“個”を強くする」ということにつながってくると思います。



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トップユニバーシティを目指すためには
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