明治大学自動運転社会総合研究所(所長=中山幸二専門職大学院法務研究科教授)は、6月5日、駿河台キャンパス・グローバルホールにて、香川大学、群馬大学と共催の公開シンポジウム「自動運転とサイバーリスク」を開催しました。
シンポジウムは土屋恵一郎学長のビデオメッセージによるあいさつで開会。土屋学長は「自動運転は日本の未来を切り拓くプロジェクト。3大学の研究成果が政府や企業にも活用され、官民学の協働で実現されるよう、さらに取り組んでいきたい」と期待を寄せました。
「小豆島プロジェクトの成果報告」と題した第1部は、2019年3月18日から20日にかけて香川県の小豆島で実施された3大学合同の自動運転技術に関する公道実験の報告が行われました。香川大学の肥塚肇雄教授による趣旨説明にはじまり、群馬大学の小木津武樹准教授(次世代モビリティ社会実装研究センター副所長)による、実験や地域住民による自動運転車への試乗体験会についての解説などがありました。試乗体験で使用された自動運転車は、決められたコースがあらかじめプログラムされ、時速20キロメートル以下で走行。運転席にはスタッフが乗車し、緊急回避などは手動に切り替えて行える形で実施され、224人が参加しました。
また、最終日には県道253号線の一部区間の片側車線を使用して、サイバー攻撃による自動運転車の操作不能状態を想定した模型との衝突実験が行われ、その貴重な実験結果について、第2部「研究実験『自動運転のログデータとサイバーリスク』の事例研究」で映像を交えて解説されました。
さらに、第2部ではITS Japan法務主査の佐藤昌之氏による「道路交通法の改正と『作動状態記録装置』導入について」、(独)自動車技術総合機構・交通安全環境研究所自動車安全研究部長の河合英直氏による「自動運転のサイバーセキュリティをめぐる国際基準の議論状況」、自動運転社会総合研究所の安部博枝研究員による「リアルタイム・ログ・データの活用とAI学習」など、全部で7つの報告が行われました。サイバー攻撃による事故発生時の責任の所在や法整備など、自動運転を巡る課題について、幅広い観点から議論が深められました。
シンポジウムには会場の座席数を大きく超える200名以上の来場があり、別室への同時中継が行われるなど盛況。誤操作による交通事故などが連日報道される中、自動運転への関心と期待の高まりを感じさせる機会となりました。
明治大学自動運転社会総合研究所
自動運転技術の活用の促進と、自動運転を実装した社会実現のために、技術・法律・地域・経済に関する横断的な研究を通じて、解決・改善策を探る学際的な研究組織として2018年に設立。