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専門職大学院長挨拶

プロフェッショナルの矜持

専門職大学院長 吉村孝司教授

専門職大学院長 吉村 孝司

博士(経営学)

本学は「明治」という新国家建設の槌音のなかで、新たな時代に寄与し得る有為な人材の育成をめざし、1881年に明治法律学校としてその第一歩を記しました。新たな時代が要請する法曹人材の育成と輩出は、わが国の教育の歴史における「専門職業人(プロフェッショナル)育成」の先がけであったともいえます。

140年近い歴史を経て、2004年に法科大学院、大学院ガバナンス研究科、大学院グローバル・ビジネス研究科が、そして2005年に大学院会計専門職研究科が本学に設置され、2008年の専門職大学院への移行、2018年の法科大学院の専門職大学院への再編を経て、現在では公共政策、ビジネス、会計、法務の4領域を擁する総合型専門職大学院として「高度専門職業人」の育成と輩出に努めています。

専門職大学院の特徴は、ひとことで示すならば「理論と実務との架橋教育」の実現であり、プロフェショナルに不可欠の理論的考察力、分析力、構想力の涵養と、実務者に期待される実践力の習得のための教育機関であります。そのための特長的な教育方法は、少人数教育、双方向および多方向的な学修方法に基づく教育の実施、および実務の最先端に従事する実務家教員を一定比率で配置していることに示されます。

法学者の石村善助はプロフェッショナルの存在を「学識(科学または高度の知識)に裏づけられ、それ自身一定の基礎理論をもった特殊な技能を、特殊な教育または訓練によって習得し、それに基づいて、不特定多数の市民の中から任意に呈示された個々の依頼者の具体的要求に応じて、具体的奉仕活動をおこない、よって社会全体の利益のために尽くす職業」であるとしました。(石村善助著『現代のプロフェッション』至誠堂、1969年より)

またプロフェッショナルとはラテン語の「professus」に由来し、「公に宣言すること」を原意としており、その存在がすでに社会への宣誓と、それに伴う社会的責任を負う職業上の存在であることを意味しています。同時にプロフェッショナルは、ある意味において孤高であり、その行動と先立つ思考および意思決定は自らの社会上および職業上の倫理と道徳に照らして行われることが強く求められます。他者が示した基準や価値観を単に拠りどころとするのではなく、自らがつねに問題意識を有し、解決のための方策を追求し続けることでプロフェッショナルとしての自身の存在を可能とします。

こうしたプロフェッショナルの具体像として、ガバナンス研究科では「新しい時代の政治や行政、社会課題の解決に対応できる高度な知識と視野を備えたプロフェッショナル」を、グローバル・ビジネス研究科では「日本経済・社会の活力とダイナミズムの高揚の担い手たる総合マネジメント力を備えたビジネスプロフェッショナル」を、会計専門職研究科では「単に会計ならびに経営に関する高度の専門知識のみを有するのではなく、専門職業遂行能力を備え、高い資質と人間力を具備する者たるプロフェッショナル」を、そして法務研究科では「『個』を大切にし、人権を尊重する法曹たるプロフェッショナル」を掲げ、これらの育成と輩出をそれぞれの使命としています。

明治大学専門職大学院はこれからの国際社会に広く貢献しようという高い意思と理想のもとにプロフェッショナルを志すみなさんを応援します。

次代のプロフェッショナルの世界がいまここからはじまります。