農水産物の販売や加工商品の開発は、多くの場合、地域の女性の力で支えられており、女性活躍の場としても「道の駅」は注目を集めています。さらに、人口減少と高齢化、地域産業の衰退といった課題を抱える地方において、「道の駅」は、今や「地域の暮らしを守る拠点=安全保障の砦」の機能を担い始めています。加えて、その地域経済活性化の力に対する関心は海外でも高まっており、農産品やその加工品を販売することで地元に「地域外マネー」をもたらすロードサイド・ビジネスとして、東南アジアや南米の9か国でJICAなどの支援で農村部を中心に開設が進み、「MICHI‐NO‐EKI」は「KOBAN」(交番)と同様に、国際語になりつつあります。
当研究所が目指すもの
総合大学に設置された「道の駅」研究の拠点として、「地方経済の維持と活性化」「防災と国土強靱化」「女性活躍」「環境保全」「国際貢献」をキーワードにした国内外の現場・現地調査、アンケート・ヒアリングなどを通じて、「道の駅」の今日的な役割を多角的に調査・探求を進めます。その成果は、論文の投稿、シンポジウムの開催、地域経済や地方自治を学ぶ学生向けの入門書(教科書)の執筆、研究成果をまとめた著作の発信などを通じて、積極的に社会に還元します。具体的には、道の駅の成功事例について、その成功の要因を、政府のまち・ひと・しごと創生本部が経産省と連携して構築した「地域経済分析システム」(RESAS=リーサス)などを活用して計量的に分析し、「道の駅」を土台に据えた地域活性化の処方箋の確立を目指します。
研究所のメンバー構成
これまで、「道の駅」の創設や研究に従事してきた大学、民間の調査研究機関、コンサルティング企業、国際機関のOBなどがメンバーとなり、様々な角度から学際的な研究を展開します。
研究代表
松尾 隆策・明治大学商学部特任准教授
主な共同研究者
鹿野 和子・汎太平洋東南アジア婦人協会副会長(元国連人口基金インドネシアおよびタイ事務所長、元国際協力銀行技術顧問)
吉兼 秀典・八千代エンジニヤリング専務執行役員(元国土地理院参事官)
森山 誠二・日本みち研究所専務理事(筑波大学客員教授)
地方創生、地域防災、環境保全、女性活躍、国際貢献の拠点として注目される「道の駅」を研究し、その成果を発信する当研究所の存在を広くご紹介いただければありがたいです。
明治大学の専任教員および特任教員と学内外の研究者等が一定期間内に特定の研究課題にかかわる共同研究等を推進することにより、本学の学術研究の発展に寄与することを目的としています。
現在、約100の特定課題研究ユニットが設置されており、研究代表者は学内外の垣根を超えた共同研究者と特定課題研究ユニットを形成し、本学の特色ある研究活動を推進しています。