日本パレットレンタル株式会社(代表取締役社長:加納 尚美、本社:東京都千代田区、以下JPR)と国立大学法人群馬大学(学長:平塚 浩士、以下 群馬大学)および学校法人明治大学(学長:土屋 恵一郎、以下 明治大学)は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した助成事業「Connected Industries推進のための協調領域データ共有・AIシステム開発促進事業」において、「ホワイト物流を実現する業界横断型共同輸送マッチングサービス」を提案し採択されました。助成期間は2022年2月28日までとなります。 物流業界では人手不足が顕在化しつつあり、個別最適化から全体最適化へ、競争から共創へのシフトが強く求められています。JPRは、異業種企業による共同幹線輸送などの取り組みを支援してまいりましたが、このような取り組みを物流業界全体に展開していく仕組み作りが重要であると考えています。採択事業では、AI技術を活用し、連携・協働するメリットが高い企業同士を結びつけるマッチングシステムを構築します。
背景
「物流危機」が叫ばれる昨今、運送業に関わる年代別就業者構成比の7割以上は40~60代が占めています(※1)。全産業と比較すると労働時間は2割長いにも関わらず、年間所得額は1割少ないという実態(※2)を抱えており、トラックドライバー不足は社会的課題となっています。一方、トラックの積載効率は40%(トラックの荷台には4割しか荷物が積まれていない)という結果(※3)も出ています。この低い積載率の要因の1つは、長距離輸送での空車回送にあり、改善の余地は大きいとJPRは考えています。政府の物流や物流行政の指針を示した総合物流施策大綱(2017~2020年度)においても、連携・協働による物流効率化が目標に掲げられており、個別最適化から全体最適化へ、競争から共創へのシフトが強く求められています。
飛躍的な物流効率化を目指す共同輸送マッチングシステム開発
JPRはこれまで、共同幹線輸送による高い積載率の達成など(※4)、異業種企業を結ぶ提案を行なってまいりました。このような先進的な取り組みを個別の事例としてとどめることなく、よりシステマティックに物流業界全体に展開していくための仕組み作りが重要であると考えています。採択事業では、JPRの物流のノウハウに加えて、AI技術を駆使し、連携・協働によるメリットが高い企業同士を抽出してより高効率な物流網を提案する「共同輸送マッチングシステム」を開発します。本システムを基盤として、多くのマッチングを成功させることにより、トラック輸送の飛躍的な効率化を狙います。
また、物流のグローバル化が進む中、今後、海外でも共同輸送におけるマッチングのニーズも高まると考え、日本国内にとらわれない共同輸送マッチングにより、グローバルな物流の効率化への貢献を目指していきます。
明治大学の役割
明治大学は総合数理学部にて数理データサイエンスを専門にしている乾孝治教授の知見を活かした輸送コスト算出のモデル開発を行います。
群馬大学の役割
群馬大学は社会情報学部ソーシャル数理研究室(吉良知文准教授、市原寛之研究員)が参画し、数理最適化(※5)や協力ゲームの理論(※6)の立場から、共同輸送マッチングシステムのコアエンジン(AI)の開発を支援します。
※1)公益社団法人 全日本トラック協会「日本のトラック輸送産業 現状と課題2018」より
※2)厚生労働省「賃金構造基本統計調査」より
※3)国土交通省「物流と取り巻く現状について」より
※4)
JPR・キユーピー・ライオンとの事例
JPR・キユーピー・サンスターとの事例
※5)膨大な組合せの中からベストな選択肢を見つけ出すための数学理論
※6)複数の事業者による協力が成立するための条件や協力時の公平な費用負担などを議論する数学理論