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学生相談室

「相談室の窓から」~カルタで遊びませんか~

2015年07月10日
明治大学

『カルタで遊びませんか』
                            学生相談室 相談員
法学部 教授 山口 政信

 絵札と字札を組み合わせたカルタは、日本の独創的な遊具です。表題には、既存のカルタで遊ぶという思考枠を半ばひっくり返えした、新たなカルタ創りとカルタ取りの両者を込めています。
 ひっくり返すのは快感だが、ひっくり返されるのはイヤ。相撲をなど見ているとよく分かります。が、「イヤイヤ、嫌なことばかりじゃないよ」と、逆転の発想を面白がる人も少なくないはずです。
 このような逆からの視座は、哲学という知の様式と何ら変わるところはありません。哲学を生み出した前提を再検討する反哲学は、哲学そのもの営みだったということを知り、頭の中がひっくり返った記憶があります。このいった志向は、観念の世界に限らず、いかにして老舗が老舗として存続してきたか、そして今後どう生き延びるべきか、といった現実の世界にも当てはまります。
 「急がば回れ」という逆説とともに、〈急がば走れ〉とパロディー精神を発揮し、それでもやはり「急いては事をし損ずる」だよね、と語れるかどうかが人としての見どころです。カルタのテーマは、〈自炊生活〉〈私はわたし〉など自由自在。あとは、いろは順に口調のよい短文に仕立てるだけでOK。この過程において、創作に向き合っている自分に気づいたなら、それはもっけの幸いです。
 以下は、フルマラソンの121回完走を支えてくれた〈マラソンいろはカルタ〉の一部です。「時として練習は嘘をつく」と、「ウンと練習、ドント・ウォーリー」は、私の原点となる対の句です。末尾に、〈め・い・じ・だ・い・が・く〉を頂いた句を記しました。皆さんもイメージを乱反射させながら、カルタを創ってみてはいかがでしょう。
〈め〉 目立ちたがり屋の先走り
〈い〉 痛い所が弱い部位
〈じ〉 死に行く覚悟(42.195)と読めるマラソン
〈だ〉 妥協のガブ飲み
〈い〉 胃腸で走るマラソン
〈が〉 からだを揺すればこころは安定
〈く〉 靴の減りみて我が振り直せ