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数理のチカラ − 末松 信彦

タンスの中の防虫剤で車の渋滞を再現

明治大学 総合数理学部 現象数理学科 末松 信彦

化学と数理のコラボで「秩序」の仕組みに迫る!



防虫剤に使われる「しょうのう」。これを船の模型に接着して水に浮かべると不思議なことに船は勝手に動き出します。これは水に溶けたしょうのうが表面張力を下げ、船に働く力のバランスを崩すために起こる現象です。では「しょうのう船」を円形の容器に複数入れるとどうなるでしょうか。数が少ないと船は同心円上を等間隔で移動しますが、船を増やすと詰まったところと空いたところが現れます。実はこの実験は、車の渋滞と本質的には同じなのです。つまり、車とは似ても似つかないしょうのう船ですが、両者の数理モデルを解析・比較すると、数理的に同じ構造を持つことがわかったのです。

自らが秩序を生み出す「自己組織化現象」の研究は、実験と数理の力によってその本質や隠れたつながりを見つけることができるのです。集中力が高まったスポーツ選手が体験する「ゾーン」の研究。浮草の増殖曲線の研究。突然の強い雨の中で最も濡れない移動方法の研究。これらはゼミの1年生が自分で決めたプチ研究のテーマです。

与えられたことをこなすだけでは、自分の力になりません。学生に最も学んでほしいこと。それは、自発的な取り組みによる達成感の獲得にあります。
末松 信彦 / 集団が形作る秩序パターンの発見と解析
自然界には自発的な秩序形成が頻繁に認められます。そのような「自己組織化現象」を、生物・無生物を問わず、実際に物を扱って研究しています。ただし、複雑な実験結果の理解には数理的なアプローチが必須となります。そこで、数理の先生方と共同で、理論と実験の両面から現象の解明に努めています。

数理のチカラ : 現象数理学科

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