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学振特別研究員採用者体験談8

※採用者の意向により、氏名は公開しておりません。(研究分野:生命情報科学)

2015年度DC2・2018年度PD採用

在学中の所属:理工学研究科 電気工学専攻 池田有理研究室

(1)学振特別研究員へ申請しようと思ったきっかけ

 境界領域で活躍する研究者としての自身の将来像があり、まずは研究者の登竜門である学振特別研究員を目指しました。また、博士後期課程進学後は、学費と生活費を家族に頼らず自身で全て賄うつもりでいたため、学振特別研究員の制度に大きな魅力を感じていました。さらに、私が研究者の卵としてどのくらいのポテンシャルがあるのかを客観的に把握するよい機会だとも考え、応募に至りました。

(2)学振特別研究員の申請開始時期及び申請を終えるまでの期間について

 学部生の頃には既に博士後期課程への進学を志していたため、博士前期課程に進学した頃には学振特別研究員への応募を強く意識しながら研究を行っていました。M2の5月に初めての申請を終えてからも、研究の進捗に合わせて、申請書の加筆修正に時間を割いていました。学振特別研究員 (DC1) では準備不足感が否めず結果は不採択Aでしたが、次年度を意識して申請書のアップデートを頻繁に行っていたことが、D1の10月に届いた学振特別研究員 (DC2) の採択通知につながったのではないかと考えています。また、学振特別研究員 (DC2) 応募時は、私の申請書草案に対する指導教員からの厳しいコメントに基づいて何度も原稿を修正しましたが、私の指導教員は学内締切当日までの間に20往復近くものやりとりにお付き合い下さいました。学内締切ギリギリまで修正してしまいましたが、大学院事務室の方が対応してくださり、申請書をさらにブラッシュアップすることができました。 

(3)申請書作成時の留意点、苦労話、採用につながったと思うポイント等

 審査員が申請書のどのような点を評価するのかをあらかじめ押さえていないと申請書を作成しにくいため、指導教員からご自身が採択を受けた科研費や助成金の申請書をいくつか見せていただきました。これから学振特別研究員の申請書を作成される皆様も、採択された科研費・学振特別研究員の申請書をよく観察すると、申請書の書き方のコツがつかめて良いのではないでしょうか。ある程度の業績は必須のようですが、専門外の人にも読みやすい申請書を作ることのほうが、採択への確かな道だと思いました。私の研究は、生物学と総合(情報学)にまたがる境界領域の分野ですが、学振特別研究員 (DC2) 応募時は熟考の上、学振特別研究員 (DC1) 応募時とは異なる研究分野に申請して採択を受けました。また、学振特別研究員 (PD) 採択時には、指導教員だけでなく、受入先の先生とも十分にディスカッションを重ね、3年間の研究進行イメージを共有することが大切だと感じました。

(4)特別研究員になって良かったと実感したこと

  まず、専門分野の比較的近い学外の先生方から評価をいただいて学振特別研究員に採択されたこと自体が、私の研究生活における大きな心の支えとなっています。学振特別研究員として採用されることにより給与をいただけたこと、学振特別研究員自身にも科学研究費が交付されたことから、家族にも指導教員や受入研究者にも負担をかけることなく研究に専念できたことを、大変ありがたく思いました。また、学振特別研究員 (DC) と (PD) の両方に採択していただいた経験が、現在のアカデミックポジション(私立大学助教)の採用においても大きく影響したように感じました。

(5)特別研究員を目指す本学大学院生へのアドバイス

  多少つらいことがあってもあきらめず、前向きな気持ちで応募し続けることが大事だと思います。研究の世界に身を置いていると、否定的なコメントや評価を受けることもあります。理不尽に感じることもあります。私自身、本学助手の不採用通知を受け取った苦い経験がありますが、学振特別研究員 (DC2) には採択されました。また、本学の法人ポスドクは不採用になりましたが、学振特別研究員 (PD) の採択通知は届きました。学振特別研究員に採択していただいたときには、地道な努力が学外の審査員の方々には評価していただけたことに、心から感謝しました。これまでの努力が実った喜びを指導教員と分かちあったことを、私は一生忘れないと思います。これから学振特別研究員を目指される皆様も、少々のことにめげることなく、頑張ってください!