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学振特別研究員採用者体験談12

伊東 昇紀 氏(研究分野:農学・環境学)

2020年度DC1採用

在学中の所属:農学研究科・農芸化学専攻 環境バイオテクノロジー研究室

(1)学振特別研究員へ申請しようと思ったきっかけ

 申請前に、原著論文が採択されたことがきっかけです。
学振の審査では、実績(筆頭著者の原著論文の数と質)が、非常に重要視されます。DC1の場合、1報でも国際誌に原著論文が出ていると、採択されることが多いと聞きます。逆に、論文が出ていないと、申請書の内容で勝負することになります。

(2)学振特別研究員の申請開始時期及び申請を終えるまでの期間について

 ○申請を決めた時期
  進路が確定した修士課程2年生の4月上旬
 
 ○申請書類作成開始時期
  4月中旬に行われた大学の学振説明会後(一般的には、遅いと思います)
 
 ○申請書の作成にかけた時間
  2週間。最初の1週間で草案を作成し、残りの1週間で先生方からのアドバイスを元にブラッシュアップしました。
 

(3)申請書作成時の留意点、苦労話、採用につながったと思うポイント等

 採用につながったと思う1番のポイントは、「様々なバックグラウンドの方に添削していただいたこと」です。
申請書は、「わかりやすく」かつ「独創的で面白く」書く必要があります。しかしながら、申請書を読んで受ける印象は、研究者ごとによって少し異なります。学振の申請書は、複数名の審査員によって評価されます。そこで、私は、自身の研究内容を肯定し、熟知している担当教員だけでなく、様々なバックグラウンドの研究者に添削していただきました。そうすることで、申請書の内容を俯瞰し、修正点を浮き彫りにすることができました。
 
 また、申請書を執筆する上で特に気を付けた点は下記の2点です。
 1. タイトルには、「独自のキーワード」を入れる
論文と同様、申請書の作成においても、タイトルは非常に重要です。
タイトルは、審査の過程で最初に確認する部分で、いわば「第一印象」を決める部分です。第一印象で審査員の心をつかめれば、有利になります。そこで、私は、独自のキーワードをタイトルに入れました。私は、当初、「微生物A(仮)の代謝メカニズムの解明」というタイトルにしていました。しかしながら、「代謝メカニズム」は、抽象的であると同時に、非常によく使用されている表現でした。そこで、私は、「バイオプラスチック原料生成経路」という独自のキーワードに修正しました。この表現は、具体的で申請書の内容をイメージしやすいと同時に、他の研究者が使っていない表現なので、自身の研究内容を強く印象付けることができます。
このように、タイトルには、独自のキーワードを入れて、審査員に強く印象付けることが大切です。
 
 2. 読みやすいレイアウトにする
申請書は、とにかくパッと見た時の印象が一番重要だと、以前学振の審査員を務めていた先生にご指摘いただきました。そこで、頂いたアドバイスを元に、下記のような「読みやすさ」を向上させる工夫を行いました。
・フォントのサイズは、11ptにする(11ptで書ききれなかったら、内容を見直す必要あり)
・十分な余白を空ける
・重要な箇所を下線や太字で強調する
・図を入れる
・小見出しをつける

(4)特別研究員になって良かったと実感したこと

 ・約100万円/年の十分な研究費が支給されたことで、当初の研究計画以上に研究が進んだ。
 ・研究費とは別に、20万円/月の給料が貰えることから、経済的な支えが大きく、コロナ禍でも余裕をもって研究に専念できた
  (明治大学では、学振採択者は、授業料もかからず、RAとの兼任も可能)。
 ・「学振特別研究員」という肩書きを得たことで、インターンシップなどの選考において有利になった。

(5)特別研究員を目指す本学大学院生へのアドバイス

 アカデミックにおいて、申請書の作成は、予算を獲得する上で必要不可欠であり、避けては通れません。特別研究員への応募という比較的早い段階で経験しておくことで、大きなアドバンテージになるかと思います。さらに、申請書という形で今後の研究計画をまとめることで、今一度自身の研究を俯瞰し、改善点を浮き彫りにする良い機会になるかと思います。ですので、ダメもとでも、ぜひ挑戦してみてください。
挑戦される皆様のご健闘をお祈り申し上げます。