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学振特別研究員採用者体験談18

※採用者の意向により、氏名は公開しておりません。(研究分野:農学・環境学)

2021年度DC1採用

在学中の所属:農学研究科・農学専攻 植物線虫学研究室

(1)学振特別研究員へ申請しようと思ったきっかけ

 研究室に所属して以降、担当教員を含め様々な研究者の方と接する機会があったが、こんなにも楽しんで働く社会人が存在するのかと驚かされた。また、同時に強く憧れた。修士1年9月の学会にて、発表後に複数人の研究者の方が興味を持って声をかけて下さったことにえらく感激し、後押しされるように博士後期課程への進学、学振への申請を決意した。

(2)学振特別研究員の申請開始時期及び申請を終えるまでの期間について

 申請を決意した時期は上述の通り修士1年の9月である。論文の有無は学振の採用に大きく作用すると言われているため、その後は論文を執筆し、11月と2月に1報ずつ投稿した(2月に投稿した論文はco-authorであり、共著者の方に大いにご助力頂いた)。申請書類の作成に関しては、3月いっぱいで初稿を作成し、4月初めから書類提出直前まで教授・先輩・同期に添削を依頼して、内容の校正および修正を行った。3〜4回ほどやりとりを行ったと記憶している。

(3)申請書作成時の留意点、苦労話、採用につながったと思うポイント等

 まず、様々な方に添削して頂いたことは一番に重要であった。申請書類は文量が多いため、書類全体で辻褄を合わせることが難しい。また、同じ申請書と長い時間向き合うことになるので、ゲシュタルト崩壊を起こし、説明不足や単純なミスにも気が付きにくい。まっさらな気持ちで他人に申請書を読んで頂けたことは、非常に有難いことであった。添削して頂くことを考えると、相手の都合も考えて、書類作成の時期は少なくとももう1ヶ月は早い方が良かったように思う。
また、英語論文を一報持っていたことは、大きかったように思う。私の場合、2月末に投稿した論文が申請書類提出のほんの数日前に通った(一方で11月に投稿した論文は再実験を繰り返し、もう数ヶ月闘うことになった。)。精神衛生のためにもさっさと論文は出した方が良い。
その他読みやすくするための工夫として、適切にフォントを変え行間を取ること、目的や重要性は一目で分かるようにすること…など細か点は多々あるが、基本的には過去の採用者がブログなどで伝授してくれているコツを片っ端から読んで、取り入れた。
苦労話ではないが、自分が研究者に向いている理由をアピールする項目では、自己分析の末自信を喪失し、軽く落ち込んだ。

(4)特別研究員になって良かったと実感したこと

 金銭的な援助は非常に大きい。明治大学の場合、学振が通ると学費も全額免除して頂ける。いつまでも親の脛を齧るわけにはいかないので、金銭的に自立できたという点で、ひとつほっとすることができた。また、修士までの間は2時間かけて通学していたが、一人暮らしをはじめたことで満員電車のストレスから解放された。お金があれば、人によっては、結婚や同棲など人生のステップを進めることもできるらしい。
また、バイトをせず研究のみに専念できることも、脳のキャパシティーを他のものに割かずに済むため、有意義である。

(5)特別研究員を目指す本学大学院生へのアドバイス

 研究者になりたいのであれば、申請書作成は避けては通れないようである。博士課程を卒業してしまえば、自分より遥かに経験も能力も上回る偉大な研究者の方々と闘って研究費を獲得しなければならないが、学振は同世代のみがライバルだと思えば、少しは気楽に捉えられるかもしれない。