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学振特別研究員採用者体験談28

藤森友太 氏(研究分野:生物系科学)

2023年度DC2採用

在学中の所属:農学研究科農学専攻 新屋研究室

(1)学振特別研究員へ申請しようと思ったきっかけ

 学振という制度自体は指導教員の新屋先生から伺いました。個人的には博士課程への進学を決めていたので、応募しようと思いました。

(2)学振特別研究員の申請開始時期及び申請を終えるまでの期間について

 修士1年の頃に学振の制度を知り、当時既に博士課程への進学を決めていたため申請しようという決断自体は早かったです。しかし個人的に物事を計画立てて行うのが非常に苦手で、DC1は〆切の一か月前ほどで焦って始めました。DC2は反省して12月頃から論文を意識的に読み、2月頃から書き始め、3月中頃~末にはある程度形になっていて推敲の段階だったと思います。申請時期自体は5月なので、およそ2ヶ月勉強、1ヶ月で書き、2ヶ月ちょっとの時間を推敲に充てました。

(3)申請書作成時の留意点、苦労話、採用につながったと思うポイント等

 私が最も苦戦したのは計画立てて行う部分です。具体的にどういった道筋で取り組めばよいのか、何を書くのか、申請書とはどういうものか。必要な情報が全く整理できておらず、大変苦しみました。元々、こういった部分は個人的に非常に苦手としており、大きなハンディキャップとなってしまった自覚があります。
当時私は研究室でも一番上の代で、身近に申請する人や経験者が少なかったにも関わらず、受け身な姿勢で情報を待ちに行っていたのが非常に反省点です。他のラボでは先輩や学生同士で学振に関する情報交換等を行うこともあると聞いていますが、自分から情報を集めに行く姿勢は大切だと今でも思います。一方で先生やポスドクの方、同期からはじっくり添削してもらうことができたので、この部分は非常にありがたく感じました。
まずは学振の本や体験記などを読み、皆さんには計画立てをスムーズに行って頂きたいです。
 また致命的な欠点として私は非常に遅筆で論文を書くのも遅く業績欄に不安がありました。
論文はアクセプトされるまで時間のかかるものでもあるので、私の二の轍を踏まないよう早いうちに論文を書いておくことを推奨します。
 もうひとつ特に苦労した点として、私は非常に基礎研究寄りの研究が好きで、参考資料として貰った申請書や本の内容に応用研究が多かったところです。具体性に欠く自分の研究で大丈夫か、テーマはこれで本当に良いのかと色々考えました。
 以上の反省点から2度の不採用Cを経験しました。

 採用に繋がった点としては上記の悩みに向き合った結果、申請に当たっての下地が形成できたことにあると思います。
 具体的には自分の研究に関連する論文をたくさん読み、ストーリーを練れた点で、論文を読んで勉強することは何より大きな強みになると思います。
 また申請書を作成するにあたってある程度予備試験などを経てストーリーを組み立てやすくしておくことも大切だと思います。
 
 当たり前にも聞こえますが、落ちても落胆は程々にして諦めずにチャレンジし続けたことが大きな成功の要素かなと思います。その背景として明治大学の助手制度があります。博士課程の学生を助手として雇用してくれるというもので、金銭的な不安が非常に軽減され、安心して取り組むことができました。

(4)特別研究員になって良かったと実感したこと

 やはり金銭的に自立した状態で研究に集中できるところです。明治大学では特別研究員に採択されると学費を全額免除してもらえます。これは非常に画期的で、精神的な安定に大きく役立つ部分です。
この背景を踏まえて非常に楽しく研究に取り組めます。
 特に自由に使える研究費があるというのは大変うれしいことで、私は研究に関連するもののうち最も大好きな昆虫採集を存分に楽しむことができました(ちゃんと論文にまとめます)。全国各地へ昆虫採集に行く過程で、新たなテーマを思いつき、実験し、研究を存分に楽しんでいます。

(5)特別研究員を目指す本学大学院生へのアドバイス

 正直なところ博士課程は主に金銭的な不安要素が多く、非常に精神的に病んでしまいやすいです。明治大学では合格すれば学費全面、万一落ちてしまっても助手制度があり、自分はいずれの恩恵もフルに受けてきました。ここまで手厚いバックアップのある大学は全国的にも非常に稀少で、学振に挑むうえでは最も理想的な環境だと思います。この点で非常に恵まれていると思いますので、努力が成功に結び付きやすいと思います。
 しっかりと準備して取り組んでみてください。応援しています。