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生田キャンパスの魅力について

2010年06月16日
明治大学

学長室専門員 廣政 幸生


 生田地区グランドデザインの策定に携わり、改めて、生田キャンパスについて考えることが多かった。生田という地域を再度振り返り、良さを再認識することで、キャンパスの特色を如何に引き出し、魅力を如何に伝え、高めるかがその主なところである。背景にあったのは、他キャンパスと比べ何となく影が薄いことである。生田キャンパスを訪れることもなく、生田のことを知らずして卒業する学生も少なからずいると推測される。教員もしかり。

 生田キャンパスの特徴は何と言っても丘の上、多摩丘陵の端にあることであろう。しかも、雑木林、斜面林が残っており、圃場とともに、古き良き多摩の面影を感じることができる。春の桜にはじまり、木々は四季の移ろいを感じさせている。最寄り駅小田急線生田駅からキャンパスに辿り着くには、最後に、通称生田坂を登らなければならない。急坂である。丘に登って、高い校舎に上がってみると眺めがよい。北東方向には都心の高層ビル群を望むことができ、世界有数の最先端大都市を高見より客観的に眺めることができる。反対の南西方向を眺めると、霊峰富士山を望むことができる。つまり、グローバルな視点と日本に根ざした視点、革新性と伝統性を同時に見て思考ができる。アイディアを醸成するには最適であろう。下に降りれば緑陰にて疲れた頭を休めることもできる。しかも、丘の上なので、世俗の喧噪を免れている。春から初夏にかけてのこの時期、涼風とともに頻繁にウグイスの声も聞くことができる。季節を感じ、感受性豊かになれる場も生田キャンパスの魅力であろう。

 グランドデザイン決定後、文化人類学者で生態学者、京都学派の泰斗今西錦司の言葉に出会った(加藤登紀子編「農的幸福論」)。「話が混乱して、つじつまが合わんようになったら、野っぱらに出て、ウロウロあるくことやな」「それでもわからんときは、日暮れ前の山にのぼるこっちゃ」「山いうてもな、その辺の丘でええんや」、全く、生田キャンパスそのものではないか、思索するなら生田キャンパスなのである。