ChatGPTをはじめとする生成系AIの利用について
学生の皆さんへ
明治大学
ChatGPTをはじめとする生成系AIの利用について
ユーザー(人間)との言葉のやり取りを行う対話型AI等の生成系AIは、質問に応じて人間に近い文章作成や創造的内容を生成するという点では人間の営為に近いものになってきていますが、生成系AIの利用が大学における教育・研究の在り方に大きな影響を与える可能性があります。
今後、生成系AIが多くの場面でわれわれの知的活動を支援するツールとなる可能性を見据えつつも、本学の授業等において、生成系AIを利用する場合には、以下の点に留意してください。
○生成系AIのみを用いて課題レポート等を作成することは認められません。また、一部の利用であっても、剽窃(盗用)とみなされる場合があります。
○生成系AIの利用については、授業内容の特性等も関係することから、担当教員の指示に従うようにしてください。
特に、論文作成を含めて研究活動に伴う利用に関しては、研究倫理の観点からも指導教員に必ず確認してください。
また、生成系AIについては問題も指摘されています。以下に主な問題点・留意点をまとめました。
生成系AIが、人間でいうところの知識と技能を兼ね備えていると考えるならば、知識については広くインターネットから情報を収集しており、技能については多くの技術者がAIの有効活用を求めて日々開発を進めていると言えます。そのため、生成系AIを検討する際には、現在の技術レベルのみでなく、今後の進化も考慮する必要があり、生成系AIの持つ利便性のみならず、それが人間の知性や社会にもたらす潜在的なリスクについても注意を払う必要があります。
生成系AIは、高い精度で「問いに対する答え」を生成することができます。ここでいう高い精度とは、十分に見識のある人間であれば解答しうる内容を、AIが生成することを意味します。一例ですが、よく知られた文学作品のあらすじやその感想文などについては高い精度で生成されることが報告されています。
他方で、次のような懸念も指摘されています。
(1)生成系AIからの情報は、ウェブサイト等から広く収集されていることから、正確さを欠く情報も集積されている恐れがある。
(2)生成系AIが情報を収集する過程で、著作権を侵害している恐れがある。
(3)生成系AIの運営組織やこれを利用したサービスを提供する組織が、特定の思想や偏見を意図的に拡散する情報操作が行われる恐れを現状では排除できない。
上記のことから、生成系AIが生成する文章は、「発信元が特定可能な、信頼できる情報ではない」と言えます。生成系AIを使用する場合には、生成された内容の正確性を文献等によって確認する手順(ファクトチェック)が必須です。
生成系AIに入力した情報は、データベースに蓄えられ、その後それらの情報が意図せず第三者への回答等で利用される懸念も指摘されています。そのため、個人情報や機密情報並びに第三者の著作物等の入力は避けなければなりません。もとより、生成系AIに限らず、いかなる場面においてもそのような情報を安易に第三者に提示すべきではありません。
生成系AIを利用する際に、自ら意図したわけではなくとも犯罪に繋がる情報を引き出す結果になる可能性があることも問題となっています。生成系AIの利用に際しては、社会を構成する一員として良識を持った上で利用しなければなりません。
話し相手として、生成系AI(対話型AI)を過度に使用することには、注意が必要です。対話型AIは、雑談、あいづち、噂話、身の上相談、占い等の問いかけに対して、実にそれらしく、時には人を惹きつけるような回答を生成します。対話型AIとそうしたやり取りを繰り返した結果、精神的に対話型AIに依存する状態となった事例も報告されています。
急速に進化するAIへの対応については先進7か国(G7)も検討を始めましたが、今後も多様な観点から議論が進展し、随時活用の指針等が示されることが予想されます。明治大学は、建学の精神「権利自由・独立自治」に基づき、自律的な知の創造と人材の育成を通し、自由で平和、豊かな社会を実現することを使命としています。
この観点から、今後も生成系AIの進化を注視しつつ、予測不可能な時代に横たわる様々な難題に対し、自ら「前へ」と切り拓いて解決へ導いていく人材を育成できるよう、生成系AIの活用のあり方等について、引き続き検討を進めてまいります。
以 上