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プレスリリース

エシカル消費における態度と行動の乖離の理由を明らかに 明治大学加藤拓巳専任講師、フェアトレード・ラベル・ジャパン、日本電気の共同研究が日本マーケティング学会カンファレンス2023にてベストオーラルペーパー賞

2023年11月15日
明治大学

エシカル消費における態度と行動の乖離の理由を明らかに
明治大学加藤拓巳専任講師、フェアトレード・ラベル・ジャパン、日本電気の共同研究が日本マーケティング学会カンファレンス2023にてベストオーラルペーパー賞
エシカルコーヒーを消費者価値に転換するコンセプトを提案
明治大学商学部の加藤拓巳専任講師、認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン(以下:フェアトレード・ジャパン)、日本電気株式会社の共同研究「エシカル消費における態度−行動の乖離メカニズムとエシカル要因を価値に転換するコンセプトの検討−」が2023年10月29日の日本マーケティング学会カンファレンス2023にてベストオーラルペーパー賞を受賞しました。
 

本件のポイント

1. 消費者は、調査ではエシカル商品に前向きな態度を示しながら、実際にその行動をすることは稀です。この態度−行動の乖離の理由は、調査では社会的望ましさバイアスによって肯定的な態度、実環境では便益の曖昧さによって否定的な行動を引き起こしていることが考えられます。
2. この乖離を解消するために、コーヒーの主要要因を網羅して評価した結果、ロイヤルティに対して、ブランド・商品品質・販売チャネルは正の影響だが、エシカル要因は負の影響となった。調査環境でも、社会的望ましさバイアスを受けずに、消費者心理のメカニズムを明らかにした。
3. さらに、エシカル要因を消費者に価値として認識されるために、「農園の労働条件の良さがもたらす品質を訴求するコンセプト」を創出した結果、貧困問題を訴求するよりも商品魅力が高まることが確認された。


日本マーケティング学会カンファレンス2023での受賞の様子。後列一番右が加藤拓巳専任講師

受賞対象の研究内容

タイトル:
「エシカル消費における態度−行動の乖離メカニズムとエシカル要因を価値に転換するコンセプトの検討−」
 
著者:
加藤 拓巳 (明治大学 商学部 専任講師)
潮崎 真惟子 (認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン 事務局長)
伊熊 結以 (日本電気株式会社 主任)
池田 亮介 (日本電気株式会社 主任)
小泉 昌紀 (日本電気株式会社 シニアエキスパート)
 
消費者はエシカル商品の積極的な採用を表明しながら、実際にその行動をすることは稀である。態度−行動の乖離の理由は、調査では社会的望ましさバイアスによって肯定的な態度、実環境では便益の曖昧さによって否定的な行動を引き起こしていることが考えられる。この乖離を解消するために、商品の主要要因を網羅して評価する必要があるが、既存文献はエシカル要因のみに限定している。
 
本研究は、日本のコーヒー市場を対象とした2つの調査によりこの知見を補完する。
 
Study 1は、ロイヤルティ要因を共分散構造分析で検証した結果、ブランド、商品品質、販売チャネルは正の効果だが、エシカル要因のみ負の効果が検出された(図1)。つまり、調査でも社会的望ましさバイアスを受けない回答を得られている。ただし、この結果は社会問題解決を訴える市場のエシカルコーヒーが対象である。そこで、エシカル要因を価値として認識されるための実証を行った。
 
Study 2は、ランダム化比較試験により、貧困問題を訴求するよりも、農園の労働条件の良さがもたらす品質を訴求するコンセプトの方が魅力が高まることを示した(図2)。

図1. コーヒーのロイヤルティ要因の評価結果 (Study 1) 




図2. エシカルコーヒーを消費者価値に転換するコンセプトの案 (Study 2)


図3. コンセプトの実証結果 (Study 2)

 

 

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