電気の力で減塩食の塩味を約1.5倍に増強する技術および その技術を使った「エレキソルト」の開発が 内閣府「日本オープンイノベーション大賞」で日本学術会議会長賞を受賞
2024年02月15日
明治大学
電気の力で減塩食の塩味を約1.5倍に増強する技術およびその技術を使った「エレキソルト」の開発が
内閣府「日本オープンイノベーション大賞」で日本学術会議会長賞を受賞
内閣府「日本オープンイノベーション大賞」で日本学術会議会長賞を受賞
明治大学(学長 大六野耕作)総合数理学部先端メディアサイエンス学科の宮下芳明研究室とキリンホールディングス株式会社(社長 磯崎功典、以下キリン)は、2月14日(水)内閣府講堂で開催された「日本オープンイノベーション大賞」において、日本学術会議会長賞を受賞しました。
授賞式の様子(左から明治大学・宮下芳明教授、キリン・佐藤愛氏)
受賞タイトル
電気の力で減塩食の塩味を約1.5倍に増強する技術の開発、
その技術を活用した製品「エレキソルト」の開発
受賞理由
- 人々の健康な食生活のために大きな貢献があり、ナトリウムイオンの動きを制御するアイデアが高く評価できる。
- 非常にユニークな発明であり、産学連携という意味でも知名度を生かしてさらなる洗練化や展開が期待される。
授賞式の様子(左から明治大学・宮下芳明教授、キリン・佐藤愛氏)
エレキソルト-椀-とエレキソルト-スプーン-
※このお椀とスプーンはそれぞれ個別に使用するものです。お椀のみ、あるいはスプーンのみで塩味を増強させます。
※画像のデバイスは実験機です。
「日本オープンイノベーション大賞」とは
「日本オープンイノベーション大賞」は、内閣府が日本のオープンイノベーションをさらに推進するために今後のロールモデルとして期待される先導性や独創性の高い取組みを表彰するものです。内閣総理大臣賞をはじめとする13種の賞があり、2022年までに73件の取り組み・プロジェクトが表彰されています。
宮下芳明研究室とキリンの共同研究
宮下芳明研究室とキリンは、「塩分のとり過ぎ」という社会課題の解決に向けて、2019年から人体に影響しないごく微弱な電流を用いて疑似的に食品の味の感じ方を変化させる「電気味覚」の技術開発に取り組み、減塩食品の塩味を約1.5倍※1に増強させる独自の電流波形※2を開発しました。
キリンは、この技術を搭載したスプーン、お椀型の「エレキソルト」デバイスの実験機※3を開発しました。「エレキソルト」デバイスはキリンから発売される予定で、現在、販売機の開発と実験機を用いた実証実験をおこなっています。
- ※1 一般食品を模したサンプルと、食塩を30%低減させたサンプルでの塩味強度に関する評価の変化値。エレキソルトの技術(電流0.1~0.5 mA)を搭載した箸を用いた試験。現在または過去に減塩をしている/していた経験のある40~65歳男女31名に対し、試験用食品を食した際に感じた塩味強度をアンケートしたところ、31名中29名が「塩味が増した」と回答。
宮下芳明研究室で発展してきた「味覚メディア」の研究
宮下芳明研究室は味覚をメディアと捉え、「新しい食体験」に関する技術や社会実装の可能性を追求しています。
時間変化を再現する味のタイムマシン「Taste-Time Traveller:食品の時間を操る味覚AR装置」※4など、研究室の学生の自由な発想を具現化し社会実装に向けて発展させる研究が進められています。※5
宮下芳明研究室は、こうした味覚メディアの研究の一環として、電気味覚の技術を独自に発展させてきました。エレキソルトに使われている電気味覚の最新の研究成果は、2023年10月に国際学会UIST ‘23 で学会発表しています。※6
キャプション:国際学会UIST ‘23 での発表の様子
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