明治大学商学部の加藤拓巳専任講師と株式会社クロス・マーケティングは共同研究「都市の象徴的存在である緑と自然が居住意向に与える影響の比較−日本の政令指定都市住民を対象とした観察・実験の両面からの研究」を日本マーケティング学会カンファレンス2024にて発表しました。本研究は、都市は消費財・耐久消費財よりもやり直し・つくり直しが困難な巨大な “製品”であるにもかかわらず、実験による仮説検証が乏しいという問題を踏まえて、住民視点で緑と自然の居住意向への効果の違いを明らかにしたものです。日本における急速な人口減少時代を控え、コンパクトシティの構築が日本全国の課題である中、本研究は多くの自治体・企業に実用的なアプローチを提供しています。
図. 実験に用いた9パターンの都市
本研究のポイント
1. 都市は多様な機能を果たす「製品」であり、世界で激しい住民獲得競争が行われている。その主な手段は、独自の印象を強化する都市の象徴の採用である。都市の象徴の代表は、ロンドンのハイドパークやニューヨークのセントラルパーク等の緑と、ソウルの南山やロンドンのテムズ川等の自然が起用される。このように、長らく緑と自然は都市ブランディングの定石として世界で認識されてきた。
2. しかし、両者は類似する存在であるものの、「災害大国」と言われる日本においては両者の効果が異なる懸念がある。住民視点で、緑と自然で居住意向に与える効果が異なる場合、都市設計や移住促進にあたって、戦略の転換が必要になる可能性がある。
3. そこで、住宅、公的施設、商業施設、緑、自然の属性を変えた9つの都市サンプルを生成し、居住意向への影響を検証した。その結果、日本では、緑は居住意向を高める一方で、自然は居住意向を低めることを示した。
4. 今後、急速な人口減少が予測されるこの国において、コンパクトシティを構築していくにあたって、本研究は重大な意味を提供している。やり直しが困難な都市開発こそ、このような仮説検証の実験が求められる。