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合格者体験談(2022年度)

2022年3月修了 丸山浩祐

合格体験記 私の司法試験合格法
 

1.経歴等
 (1)経歴
2016年4月 明治大学法学部法律学科 入学
2020年3月 明治大学法学部法律学科 修了
2020年4月 明治大学専門職大学院法務研究科 既習者コース 入学
2022年3月 明治大学専門職大学院法務研究科 既習者コース 修了
2022年9月 司法試験合格(短答943位(128点)、総合773位(859点))

  (2)法曹志望の理由
 私の母は、シングルマザーとして私を育ててくれました。昔から金銭面で苦労することが多く、弟と母と親子3人で支え合って生きてきました。また、私自身も体調を崩し高校に通えない時期があり、通信制高校に転校することとなる等、物質的にも精神的にもタフな環境の中で、なんとかここまで生きてきました。 
   昔から苦労していた母の姿を見て、漠然とこんな人を助けたいとの思いはありましたが、通信制高校に通っていた時期に法律家という夢がより明確になりました。 
 通信制高校で担任をしてくれた方は、旧司をされていた方でした。その方と授業外で話をするうちに、無味乾燥だった法律が、武器になることを知りました。また、法的なものの見方も私自身にとても合っていると思いました。当時勉強は全くしておらず、日々を過ごすだけで精一杯でした。しかし、法律家になりたいという夢を持ってから、人が変わったように歯を食いしばって受験勉強をしました。 
 当然、塾に行くお金等は全く無く、何度も諦めようかと思いましたが、環境や周りのせいだと言い訳せずに努力を続けたことで、なんとか明治大学に合格しました。 
  大学に入学後も司法試験の厳しさに触れ、諦めて就活しようかと考えたこともありましたし、周りの優秀な友人達は、予備試験に合格していきました。彼らに対する妬みを感じる中で、何も努力していない自分のしょうもなさに気付かされ、もう一度しっかり努力しようと思い、明治大学法科大学院に進学しました。 
 ローに入学してからも、当初はなかなか切り替えることが出来ず、不真面目な学生でした。2年目の夏には、他の同期も予備試験に合格する等、改めて今の自分の不甲斐なさを突きつけられました。そこでスイッチが入り、司法試験合格を単なる夢ではなく、現実的な目標として捉えることができるようになりました。 
 以下で記すような勉強法を地道にこなすことで2022年9月には、なんとか一発で司法試験に合格することが出来ました。 

2.短答式について
 (1)短答式の重要性
 よく短答は苦手だが、論文は得意であるから短答は足切りに掛からなければ良いと言う人がいます。そもそも、短答で点数を取れる人が論文で点を取れないはずがありません。今年惜しくも不合格となった人の短答の点数、論文の点数を詳細に見たわけではないですが短答の準備が遅いために、本番直前に短答に時間を取られ論文の勉強ができなかったパターンや、短答の点数が足切りラインギリギリであるため、一つの論文のミスが命取りとなっているパターンが多いように思います。
 今年短答で140点を取った人は、論文1科目あたりの得点は42点で合格できます。一方で、足切り96点であった人は論文1科目あたり47点必要となります。42点という点数は一応の水準の一番最低ラインであり、全体のうち一応の水準との評価が与えられる割合は、全体の40%です。すなわち、短答で140点(得点率80%程度)を得た人は、論文で下位30%に入らなければ合格できます。短答合格者平均点は123点ですが、この点数であれば、論文各科目44点で合格できます。

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[1] 法務省 「司法試験の方式・内容等について」(https://www.moj.go.jp/content/001308845.pdf
[1] 法務省 「令和4年司法試験(短答式試験)の結果」(https://www.moj.go.jp/content/001380390.pdf
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 このように短答の得点次第で、合格可能性が左右されることは明らかです。私自身も短答の得点が特別良かったわけではないですが、今現在で短答70%の得点率すら取れないレベルにある人は、論文の勉強を後回しにしてほしいと思います。来年受験される方は、1ヶ月以内で70%を常に取れるレベルに持ってきた上で、論文の過去問演習等していただきたいです。
 

(2)短答式の勉強法
 過去問だけをひたすらやるだけです。 
 ロー2年目の8月から合計で10回から20回は解きました。何回やったかが重要ではありませんが、回数をこなさないと出来るようにはならないこともまた事実です。司法試験受験生の大多数が『短答過去問パーフェクト』を使用しているので、この過去問集をやれば良いと思います。 
 短答は絶対評価であり、努力が最も反映されやすい試験方式です。ここで点を取らなければ、司法試験合格は危ういです。 

3.論文式の勉強法 
 司法試験本試験過去問全部、予備試験、旧司法試験を繰り返して、答案の流れを人に説明できるレベルにしました。(予備、旧司については辰已出版から出されている『えんしゅう本』を使用した) 
 直前期までは、答案の骨格を意識して演習に当たっていました。また、過去問等から傾向を分析し、こういう聞かれ方をされたら、こう論じる等、ある程度類型化した答案の枠組みを事前に用意していました。
 例えば、民法であれば最初の書き出しは、「XはYに対して、所有権に基づく甲土地の明渡しを請求する」とする等、本番で考えなければならないところ以外、極限まで準備していました。 
 また、論証については、辰已の趣旨規範本を改造して、直前2、3ヶ月で一気に詰め込みました。 
 具体的にどのように改造したかというと、司法試験の出題趣旨で指摘されている事項や、自分の間違えたところ、答案の骨格、思考過程等を書き込み、一元化しました。また、趣旨規範本は、粗い記述もあるため、基本書等で裏取りして加筆修正を行う等もしました。 
 直前は改造した趣旨規範本だけを見れば良かったので、大変便利でした。 

4.その他合格に役立つと考えている考え方等 
 とにかく、司法試験のプロになるという意識が必要だと思います。 
 出題趣旨等から過去問の分析をすることはもちろん、模試や公開されているデータから自分の立ち位置を客観的に掴むことや、取るべき点数、本番で書くべき答案について、とにかく自分の頭で考えることが必要だと思います。 
 合格後は当然受験から遠ざかるわけだから、こと司法試験に関しては大学の教授や法曹の誰よりも詳しくないと逆におかしいと思います。(試験委員は除く) 
 また、バランス感覚は必要だと思います。丁寧にやることも大事ですが、丁寧にやりすぎて全体が終わらないのは本末転倒です。今の自分の能力と本番で求められている答案との差に応じて、自分なりにメリハリをつけて今やることを決定していく必要があります。
 司法試験は、実務家登用試験であり、実務家に求められている能力とは、正確に迅速に案件を処理することです。そういった観点からすると、力を入れるべきではないところに力を注いで期日に間に合わない、適切な訴訟活動を行うことが出来ないような実務家は、活躍出来ないはずです。
 今、能力が低いために本番で求められている答案を書けないのであれば、とにかく全範囲を終わらせてください。都度、自分ができる最善を尽くしていれば、勝手に司法試験に合格しているはずです。
 応援しています。頑張ってください。
 
 

2022年3月修了 R.K

合格体験記


 1 経歴

(1)経歴
 2016年4月 明治大学法学部法律学科 入学
 2020年3月 明治大学法学部法律学科 卒業
 2020年4月 一橋大学法科大学院 入学
 2022年3月 一橋大学法科大学院 修了
 2022年9月 司法試験合格

2 短答式の勉強方法
(1)使用書籍について
 短答のために使用した教材は、『六法』、『短答過去問パーフェクト』、『肢別本(アプリ版)』、実際の過去問、TKCロ—ライブラリー掲載の解説です。教材に関しては、いくつか試してみて自分に合うものを選べばよく、かつどの教材でもやりこむことが重要だと思います。
(2)勉強量について
 司法試験のために短答ときちんと向き合ったのは、2021年9月頃(本番の約8か月前)です。当初は短答過去問パーフェクトを用いて学習していましたが、その量と重さに心が折れ、1周ほどで止めました。そこで、アプリの肢別本を購入し、通学の電車の中などの空き時間をひたすら短答に費やしました。アプリの肢別本はおおよそ2周程度したと思います。
 本番の約4か月前からは、年度別に時間を図って問題を解いたあと、TKCロ—ライブラリーの解説を見ながら1問ずつ検討するということをしていました。年度としては令和3年から平成24年くらいまでやりました。よって短答は、おおむね3~4周程度やったことになります。
(3)勉強方法について
 大まかに年度別問題では全体的な知識の確認を行い、肢別本アプリで苦手分野を集中して勉強する、という方針をとっていました。
 年度別の問題については、丸つけの際に六法を手元において、逐一条文を確認するようにしていました。
 肢別本アプリは、自信のあるもの、要注意、不確実といった事項を記録できるので、それを活用しつつ、正答率の低い問題や不確実な問題は3周するなどしました。

3 論文式の勉強方法
(1)使用書籍について
・憲法:芦部憲法(特に短答)、憲法判例の射程、憲法ガール、憲法上の権利の作法
・行政法:基本行政法、基礎演習行政法、行政法解釈の基礎、行政法ガール
・民法:ロープラクティス、中田・契約法、中田・債権総論
・商法:ロープラクティス、田中会社法、リークエ会社法
・民訴:ロープラクティス、リークエ民訴
・刑法:基本刑法
・刑訴:基本刑訴、事例演習刑事訴訟法、伝聞法則に強くなる
・経済法(選択科目):条文から学ぶ独占禁止法、論点解析
・その他:判例百選、趣旨規範ハンドブック、アガルート合格論証集
(2)勉強量について
 司法試験の論文式試験問題に本格的に取り組み始めたのは、2021年1月頃からです。そのため、約1年半程度のスパンで取り組んでいた計算になります。平均して2周、問題によって3周は取り組んだと思います。
(3)勉強方法について
 基本的な勉強サイクルは自主ゼミを中心に組んでおり、①答案を書く→②出題趣旨と採点実感を読む→③自分の答案を読み直す→④他の人に読んでもらう&他の人の同じ問題答案を読む→⑤見解の異なる箇所や出題趣旨・採点実感を読んで、よくわからないところを他の人と詰める(自主ゼミ)→⑥まとめノートにまとめる、というものでした。これに加えて、問題によっては予備校が出している答案例や最上位答案の写経もやっていました。
 論文で最も意識したのは、答案の型を最初に身につけてしまうことです。その方法として、優秀答案や参考答案の写経をしていました。また、これは学習環境に左右されてしまいますが、予備試験に受かる優秀なレベルの人がいるならば、その人と積極的に関わり、答案を見せ合うといいと思います。
 まとめノートは『趣旨規範ハンドブック』をベースにしていました。一からまとめノートを構築するのは時間がもったいないので、市販の予備校本を用いて、適宜修正したほうが楽だと思います。
 また、試験直前に見返すために、まとめノートは作るべきだと思います。情報が一元化されていると、見直しが非常にスムーズになります。
 自分の答案のクセや問題点を解消するために、他の人に読んでもらうことも大事だと思います。クセと言っても色々ありますが、特に日本語としておかしい箇所については早急に直すべきでしょう(主語と述語が対応していないとか)。
 自主ゼミを組む以外にも、個別指導を依頼することもできます。

4 最後に
 試験勉強なので、最後まで基本的な事項の修得を怠らず、地道に諦めずに勉強できた人が受かると思います。頑張ってください。
                                      以上
 
 

2022年3月修了 蕪城理子

 合格体験記

第1 はじめに
 私は昔から特別勉強ができるわけでもなく、また、ロースクール入学までは司法試験の問題など到底解けるような状態ではありませんでした。しかし、本学の既修者コースに合格し、入学後に2年間集中的に学習したことで、1回目の司法試験で合格することができました。
 そこで、この合格体験記では勉強が特別できなかったにもかかわらず、1回目で合格できた学習方法を書きたいと思います。ここで書く学習方法はあくまでも一例であるため、参考程度に読んでいただければと思います。

第2 経歴
令和2年 専修大学法学部法律学科卒業
令和4年 明治大学法科大学院既修者コース修了

第3 ロースクール入試までの学習状況
 法学部ではあったものの、ただ漠然と授業を受けるだけだったので、事例問題をみても何を書けば良いか、検討がつかないような状況でした。また、各科目の体系的理解が全くできていませんでした。

第4 ロースクール1年目の学習状況
 既修者コースで入学できたものの、憲法・民法・刑法の答案が少し書ける程度で、知識も全然なく、授業についていくのに必死でした。そこで私は、授業の予習復習と並行して、問題と解答がセットになったアガルートの演習本を用いて問題演習を毎日行い、どのような問題のときにどのような解答を書けば良いのかを身につける練習をしました。
 この段階では、まだ司法試験の過去問をちゃんと解いたことはありませんでした。

第5 ロースクール2年目の学習状況
 3年生の前期では憲法の過去問を隔週で起案し、補助講師にみてもらうゼミ、展開演習で民法の過去問を隔週で起案する以外に司法試験の過去問を解くことは、基本的にはありませんでした。後期になってからは、憲法と民事訴訟法以外は展開演習を履修していたので、そこで過去問の起案をしていました。
 修了するまでは過去問を取り扱う授業以外の授業もあるため、あまりしっかりと司法試験に向けた学習はできていなかったような気がします。

第6 短答
 短答については択一問題が本当に苦手なため、学習方法はあまり参考にならない気がします。ただ、足切りを回避する最低限の方法ではあると思いますので、苦手な方は参考にしてみてください。
短答対策は2年生の年末頃から本格的に開始しました。使用した教材は『過去問パーフェクト』です。やり方としては、まず平成18年から最新の年度までの問題を法務省のHPで全て印刷し、時間を測って解きます。
その後採点をし、間違えた箇所をパーフェクトに書き込み、条文を読み込みます。上記を繰り返し、そこで何回も間違える問題については大きめの付箋に書いて目につくところに貼り、暗記します。
 また、パーフェクトの中で何度も間違える問題にも付箋を貼り、すぐに復習できるようにしていました。私はパソコンを使用して勉強するのがとても苦手だったため、全てパーフェクトに書き込む形で勉強していました。

第7 論文
 論文については、アガルートの問題集を使用して主に勉強を進めていました。使い方としては、全ての問題を答案構成して解いていくという方法です。わからない問題があるときは、考える時間が勿体ないため解答をみて、どのように書けば良いかを覚えていました。これをひたすら繰り返し行うと、少し難しい問題が出ても自然と書ける力がつきました。
 これとは別に過去問演習を行いました。過去問作成は2時間厳守で行い、答案は補助講師やロースクールの教授に必ず添削してもらい、出題趣旨や採点実感を読み、自分ができていなかったことを論証集に書き込む作業を行いました。過去問演習も繰り返し行うと、いかに基本的なことがちゃんと書けるかで合否が決まるか、ということがよくわかるようになります。また、受験生がどんな論点が書けるのかも大体わかるようになり、本番で何をどこまで書くかの判断基準にもなります。
 司法試験は与えられた事例問題について、どのように答えるかが問われている試験です。そのため、問題・過去問演習は絶対に欠かせない大切な勉強だと思います。論文の勉強は書くのも大変で時間も長いため、辛いと思いますが、書いた分だけしっかり評価してもらえるので、地道に勉強を進めていくことをおすすめします。

第8 おわりに
 私は、司法試験直前期である3,4月に行われる模試でD判定を取ったり、試験本番の短答試験で2000番台だったりと、周りからみればとてもじゃないけど合格するようなレベルではありませんでした。しかし、人それぞれ勉強のペースは異なるため、焦らず司法試験当日に向けて地道に自分を信じて勉強を続けていけば、私のように直前まで結果が伸び悩んでも1回目の司法試験で合格することができると思います。
 司法試験は長く、辛い試験です。知識があるだけでは足りず、本番の5日間は体力とメンタルの維持も行わなければなりません。勉強中は自分の出来なさに落ち込むばかりで、辛い日々が続くかもしれませんが、息抜きも忘れずに、合格を目指して頑張ってください。
以上
 

2022年3月修了 吉野友貴

 合格体験記

1 自己紹介
 初めまして。2020年3月に法学部を卒業し、同年4月に慶應ロー(既習)に進学、2022年3月に修了しました。そして、その年の司法試験に合格することができました。本格的に勉強を始めたのは学部3年の9月頃でした。ロー入試は明治・中央・早稲田・慶應を受験し、それぞれ、全免・全免・ステメン落ち・合格(免除無し)という結果でした。
 学部生時代は法律相談部に所属しており、ロー入試の時は民法、特に家族法に関しては周りの受験生よりもアドバンテージがあったと思います。

2 使用した教材
 私は、予備校なんかに頼ってたまるかの精神で勉強を進めてきました。予備校はダメだと言っているのではなく、単なる食わず嫌いです。予備校の論証主義のような考えが嫌いだったのと、予備校本を読むくらいなら基本書をじっくり読んだ方が面白いし、ためになると思っていたからです。ただ、予備校を使って予備試験合格、司法試験上位合格を勝ち取っている例もありますから、私のように予備校に一切頼らないやり方でも、受かることは受かりますが、自分に合った使い方をすることをおすすめします。
 前置きが長くなりましたが、私が使用した教材は以下の通りです。受験生であれば略称でも通じると思うので紙幅の都合上、最低限の表記にとどめてあります。特におすすめの本には頭に○印をつけてあります。
 
 【憲法】
・芦部 ・佐藤幸治 日本国憲法論 第2版 ・「憲法上の権利」の作法 〇憲法判例の射程 ・憲法論点教室 ・憲法ガールⅠⅡ 〇精読憲法判例 〇百選ⅠⅡ
【行政法】
・サクハシ 〇行政判例ノート ・事例研究 〇行政法解釈の基礎 ・行政法ガールⅠⅡ 〇弘文堂スクエアweb連載「行政法を学ぶ」
【民法】
・佐久間民法の基礎1及び2 ・松井担保物権 ・道垣内担保物権 ・潮見プラ ・中田債権総論 ・中田契約法 ・潮見イエロー不法行為法 ・円谷不法行為法 ・犬伏ほか親族法 ・ロープラ1及び2
【商法】
・紅白本 〇論文演習会社法 上下 ・ロープラ 〇百選
【民訴】
〇高橋概論 ・リークエ ・百選 〇最新重要判例250 〇ロースクール民訴 〇ロープラ
【刑法】
〇基本刑法 ・百選 〇法学教室連載 刑法総論の悩みどころ、同各論
【刑訴】
〇リークエ 〇伝聞法則に強くなる ・ケースブック

3 自分の勉強スタイル
 私は家で勉強できないタイプでしたので、コロナ禍の始まったロー2年次は全くといっていいほど勉強していませんでした。成績もそこまでよくありません。対面授業が始まった3年次からは日曜日以外、毎日ローに通い、勉強していました。授業の予習に、多くの時間を割いていたと思います。春学期はまだそこまでエンジンを回していなかったので、18時か19時には帰路についていました。夏休みも毎日通い、苦手だった憲法を中心に勉強しました。夏に勉強していなかったら、合格は無かったと思います。3年秋学期からは緊張感が高まり、19時か20時くらいまで勉強していました。それでも周りと比べれば多いほうではなかったです。
 私は試験対策の勉強が嫌いでした。とにかく自分が興味を持ったこと、疑問に思っていることを追求する勉強をしていました。そのため、過去問演習は全然やっていません。行政法だけは10年分みっちりやりましたが、他の科目は2、3年分を答案構成だけ行っていました。そんなことで受かるのかと、驚いた方もおられると思います。私は日本語を書くことに関しては自信があったので、答案構成したものをわざわざ文章にする時間や労力は無駄なものだと思って、割り切ってこのような勉強をしていました。(あと単に面倒くさかったので)こんな方法でも受かりますが、おすすめはしません。

4 これから受験する皆さんへ
 低迷しきっていた法曹人気が少しずつ回復してきたように感じます。令和5年以降は新制度の施行もあり、受験生の数は増加することが確実視されています。先を見据えるとどうしても不安になってしまうでしょう。しかし、どうか悲観的にならず日々を過ごしてほしいと思います。
 というのも、司法試験を実際に受けて思ったことが1つあるのです。それは、メンタルをやられたら負けだということです。緊張に打ちのめされてしまったら、本来の実力を発揮できないばかりか、変なことを書いてしまって、採点者に悪い印象を与えかねません。
 過度に緊張しないためには、毎日勉強をやりきったという事実が何よりも大切だと思います。しかし、試験のことばかり考えて不安の中、毎日を過ごしていたら、勉強に身が入らないのではないでしょうか。そこで皆さんには、試験のことは楽観的に考えてみることをおすすめします。“どうせ受かる”と。しかし一方で、今日の勉強に対して危機感を抱くようにしてください。“こんなものでは受からない”と。そうすれば日々の勉強においても、試験本番においても、良いメンタルで臨めると思います。皆さんの検討を祈っています。
 
 
 

2022年3月修了

合格体験記

第1 はじめに
 この度合格体験記を書かせていただきます。勉強法はあくまで個人的なものにすぎず、全員に当てはまるものではありませんが、何かの一助になれば幸いです。
 
第2 経歴
 2020年3月 明治大学法学部法律学科 卒業
 2020年4月 一橋大学法科大学院(既習) 入学
 2021年11月 予備試験最終合格(短答370位、論文185位、口述73位)
 2022年3月 一橋大学法科大学院(既習) 修了
 2022年9月 司法試験合格(短答780位、論文507位、総合512位)
 
第3 勉強について
 1初学者時代(学部1~3年)
  ⑴初学者のときには、和泉キャンパスでの辰已の入門講座を2年間受講しました。このときは全部の知識を習得していたとは言えず、7法について何となくのイメージが持てていたという感じでした。短答とか他の勉強についても、それほどやっていたわけではなく、何度も挫折しました。駿河台に移ってもそれは変わらず、自習をたくさんやれていたわけではありませんでした。
  ⑵ただ、2年生から法学部・法制研究所共催の予備試験対策講座を受講させていただき、毎週論文を書いていました。後々思い返してみても、論文の書き方についての基礎をたくさん学べた時間でした。ロー入試、予備試験、司法試験と論文を書く試験はたくさんあり、また論文の書き方は一朝一夕では習得できないため、早い段階から着手することは非常に大事なことであると思います。
 
 2ロー入試に向けての勉強
  ⑴私が本腰をいれて勉強を始めたのは3年生から4年生に進級する間の春休みからです。ロー入試が間近であるということもあり、いよいよやらねばという気持ちでした。やった内容としては、定評のある演習書を6法(行政法は私立ローでは問われないため)それぞれ1冊ずつ選び、とりあえず1周しました。1周回したとはいっても、それぞれ十分な知識がないため、演習書を読んで、エクセルで答案を作成し、わからないところは基本書を読むというものでした。
  ⑵また、短答についても着手し始めました。私は1日分を、辰已の短答パーフェクト20題として、当日分+前日、前々日分を復習する方法(1日20題×3。問題番号が1~とあるが、1~20,21~40,41~60…と分けて1日目は1~20、2日目は1~40、3日目は1~60、4日目は21~80…)でやっていました。出てきた条文、判例については判例六法の該当部分をマークして、試験会場に持っていきました。最後までこの方法でやりました。復習しつつ回すことができて、とても良い方法であると思います。
 
3司法試験に向けての勉強
  ⑴正直、ローに入ってからは自習の時間はそれほど取れず、過去問演習と演習書を少し回したぐらいでした。そのため、ローの授業対策が勉強のメインとなってしまいましたが、結果的には良かったです。授業ときっちり向き合い、予習復習等を丁寧に行ったため、授業内容をきっちり理解することができたことが、合格につながった一因であると思っています。当日においても、授業でやった内容が多々出題されました。これについては、各々が行くローによって異なってくる可能性があるので、ローの先輩等に聞いて、授業にどれほど力を入れるか考えた方が良いと思います。
  ⑵また、過去問について新司法試験は、全ての問題をフル起案しました。現在の司法試験においては、過去の司法試験、予備試験、旧司法試験で出題されたのと同じ論点が問われることが多々あるため、過去問演習が一番大事であると思っております。過去問演習については自主ゼミを組み、お互い起案してきて、書いたほうがよいこと、あてはめをどうするかについてお互い答案を見せながら、ぶんせき本、出題趣旨、採点実感を参照しつつ議論し合いました。
   また、司法試験直前の春休みに答案構成し、出題趣旨等を見直すのみでしたが平成23年度ぐらいまでもう1度遡りました。司法試験当日においても、やはり見たことのある論点は多々あり、見たことのない論点についても、過去に問われていたことや、採点実感で考査委員が述べていたことを手掛かりに、上手く処理することができました。個人的にある程度の論点は、新司法試験においても出題し尽くされた感じがあるため、過去問演習を行い、採点実感等で考査委員が求めていることを把握することは、非常に大事であると考えます。
 
第4 終わりに
 私の合格体験記は以上です。正直、ローに入ってからの勉強量は少ないほうであると思います。もっと判例等についての知識を入れた方が良かったですし、予備試験に合格しているものの、上3法の短答への苦手意識は完全には克服できませんでした。
 司法試験までの時間は思ったより短いです。ロー在学中に受験できるようにもなり、さらに時間は少なくなっていくと思います。やるべきことはたくさんありますし、計画立てて後悔のないように、日々こつこつ学習を進めてください。きっと日々の勉強が最後には自分を助けてくれます。
司法試験までの勉強はしんどいですが、頑張ってください!
 以上