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明治大学 社会科学研究所 広島講演会

日時:2004年11月13日(土)午後1時30分~3時30分   
場所:広島YWCA 本館地階国際文化ホール(広島市)   
講師:北岡孝義 明治大学商学部教授

聴講無料・申込不要 直接会場にお越しください  

金融・経済の現状と展望 -私たちの暮らしと金利を中心に-

 日本経済は「不況の時代」からようやく脱しようとしています。各種の経済指標を見ても、本格的な景気の立ち直りを示す指標が増えてきています。1990年代始めのバブル崩壊から現在まで、景気回復の局面は何度かありましたが、実感のない過去の景気回復とは異なり、今度こそは本物と思えるような回復ぶりです。
景気の立ち直りはそれ自体結構なことですが、手放しで喜べない面もあります。本格的な景気回復は、超低金利時代、ゼロ金利時代の終わりを意味します。景気回復が本格化するなかで、金利が一挙に10%近くに跳ね上がる可能性は小さいとしても、4~6%の普通の水準に戻る可能性は十分にあります。普通の金利水準に戻る過程で、様々な問題が生ずるものと予想されます。私たちは、長い間、超低金利の時代に暮らしてきましたので、金利が上昇することによって何が起こるかをにわかに想像できないかもしれません。
金利の上昇は、企業の設備投資計画に影響を与えるだけでなく負債の多い企業の収益を圧迫します。また、銀行など金融機関の保有する国債の価値を下げ、時価会計のもと金融機関の経営を再び悪化させます。私たちの暮らしにとっても、預・貯金金利の上昇など良い面もありますが、住宅ローン金利始めとする各種ローン金利の上昇は生活を圧迫します。  この講演では、景気が本格的に回復するなかで、金利全般の上昇が企業や私たちの暮らしにどのような影響を及ぼすのか、そして、金利上昇に対して私たちは自らの暮らしをいかに防衛すればよいのかを中心にお話したいと存じます。

注: なお、この文章は7月時点で書いたものであり、その後の経済状況の変化によって内容が異なる可能性のあることをあらかじめお断り申し上げます。