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学生相談室

「相談室の窓から」~時にはパソコン・スマホから離れて~

2013年11月20日
明治大学

時にはパソコン・スマホから離れて

                                         学生相談室相談員
                                          経営学部 教授 居駒 永幸

最近、教室の風景が変わってきているように思います。授業をしていて、学生の顔が見えないことがしばしばあるのです。それはおそらくスマートフォンの急速な普及と関係があるでしょう。教室で片時もそれを離さず、うつむいている学生の姿が常態化しつつあります。ネット社会もここまで来たか、と時代遅れの私などは戸惑うばかりです。授業でわからないことがあったら、手っ取り早くスマホで調べるということかもしれません。しかし、授業では先生の話を聞くことに、まず集中すべきです。

最近、ネット依存症という言葉をよく聞きます。パソコンから離れられず、授業にも出られないということが問題になっているのです。さらにパソコンからスマホになることで、四六時中ゲームやネットに縛られるという深刻な事態に陥るケースも出始めていると聞きます。もちろんネット社会が悪いわけではなく、使う側の私たちが賢く利用すればよいわけで、パソコンやスマホから離れた時間をもつことも必要なのではないでしょうか。

急にアナログな話になりますが、リュックに本を詰めて旅に出ようという標語が以前ありました。パソコン・スマホから離れて、地方の文化を見て歩く旅に出るのもよいでしょう。なにも旅だけではなく、美術館・博物館を訪ねて芸術に触れることも自分を高め、視野を広げるための機会になります。外に出て歩き回りながら考えるという思考法はとても大切なものです。自分を見つめ直すきっかけにもなることでしょう。

私はゼミで東北の小村の民俗調査を続けています。ゼミ生はネットを駆使してレポートを書くのは得意ですが、フィールドワークではこのやり方が通用しません。石碑を探し出して村の歴史や信仰を知り、お年寄りから聞き取りをして村の生活を理解するしかないのです。だから私は、ゼミ生に「頭で考えるな。歩き回って足で考えてみよう」と言うことにしています。実感なくして真の思考は生まれないという意味で言っているのですが、旅に出て新しい自分を発見することにそれは通じます。歩き回って考えることで、まったく違った見え方がしてくるものです。

パソコンから離れられないとかゲームが気になって授業に集中できないという人、一度相談室で悩みを打ち明けてみてはどうでしょうか。