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学生相談室

「相談室の窓から」~若者よ、ポジティブに悩み抜け!~

2015年11月20日
明治大学

『若者よ、ポジティブに悩み抜け!』

学生相談室 相談員
経営学部教授 守屋 宏則   


 
今年度4月より、和泉キャンパスの学生相談員を務めています。春学期の約4ヶ月の間に、何らかの悩みを持った学生諸君と面談しました。私は1・2年生とは40歳ほど年齢が離れているので、思いもよらない様々な悩みがあることに少々驚きました。私自身は楽観的・楽天的、いわばノー天気な人間で、これまであまり思い悩んだ記憶がありません。そこで、この機会に「悩み」について考えてみました。例えば「心的悩み」「身体的悩み」「物質的悩み」などがあるでしょう。その中には、解決の道筋が見えるものと、そうでないものがあるでしょう。また「過去から現在に至る悩み」と「将来を考えての悩み」に分けることもできるでしょう。

 あれこれ考えているうちに「ポジティブな悩み」と「ネガティブな悩み」の分類に思い至りました。前者は、例えば研究が思うように進まず、めざす成果の実現に思い悩む。私もこの悩みは常に抱えています。後者は「いわゆる悩み」でしょう。あまりにも年齢がかけ離れているので、想像力がはたらかず、私と接点のある学生諸君に「同世代に共通する悩みはどんなものか?」について聴いてみました。順不同で「将来への不安」「人間関係」「金銭」がベスト3で、私は思わずため息をつきました。これらはすべて「ネガティブな悩み」に入るでしょう。老境に足を踏み入れた教師としては、もっと「ポジティブに」悩んで欲しいなと思います。

 ノーベル医学生理学賞に輝いた大村先生の「人のためになることをしたい」という言葉に私は感銘を受けました。地道な研究が成果として結実するまでには壮絶な「悩み」があったことでしょう。

 「悩み」と少し離れますが、電車のドアが開くと、優先席に直行して、どすんと腰をおろすやいなやスマホに集中している姿を見ると「若者としての矜恃(きょうじ)」を持って欲しいなという思いにかられます。北京の地下鉄ではごく自然に席を譲ります。台北のMRT(=地下鉄)には「博愛座」という優先席がありますが、空いていても若者は座りません。

 話を戻して、「悩む」ことは青春の特権で羨ましく思います。老境に至れば悩んでもどうにもならないことばかりです。「若者よ、ポジティブにおおいに悩み抜け!」というエールを送りたいと思います。