Go Forward

ICTの可能性と留意点

2010年07月08日
明治大学

学長室専門員 歌代 豊


 6月は学会開催のシーズンで、週末は出張が多くなる。先日の学会では、国内販売されたばかりのiPadを開き、電子化された予稿を見たり、 メモをとったりする参加者が目立った。懇談会のときには、出版社の編集者を囲み教科書のiPad化の話しで盛り上がった。

 明治大学もかねてより、教育の情報化に注力しており、教育の情報化推進本部ユビキタスカレッジを立ち上げ、教育面でのICT(情報通信技術)の利活用を拡大している。このコーナーでもクリッカーを使った大人数講義での学生との双方向型授業の可能性についても触れた。
 折しも政府のIT戦略本部が発表した工程表の中でもデジタル教材を使った「教育手法の開発」が短期の重点施策として取り上げられた。大学としても本格的にコミットし、教育の情報化を加速させて行く責任がある。

 しかし,その一方で、留意しなければならない点もある。ICTにより地理的、時間的の制約を緩和することができ、良質な電子教材による予習・復習や遠隔地での受講が可能となる。しかし、最高の教育環境は時と場所を同じくする濃密な対面教育であることに変わりはない。ICT時代だからこそ、ゼミナール教育などの少人数教育を重視していく必要がある。

 また、新技術採用の難しさを理解する必要がある。スマートフォン,電子ブックなどICTの進歩は日進月歩である。しかし、新たな技術や端末の導入期には多様な商品が乱立するが,いずれ勝者がデファクトスタンダートになる。このような高不確実性の中で、どのような技術,端末を採用していくのか多面的な評価検討が必要といえる。

 大学において、ICTはバックオフィス業務、IR(Institutional Research)、広報においても大きな武器になる。たとえば,本学ホームページにも動画によるリアリティある情報発信を増やしているところである。近々、新たなメディアを使ったコンテンツ配信を日本の大学の一番手として開始する予定であり、今後もICT教育の進展を継続的に紹介していきたい。

<参考>
教育の情報化推進本部
http://www.meiji.ac.jp/edu-info/
明治大学ユビキタス教育
http://www.meiji.ac.jp/ubiq/
大人数の講義での学生との双方向型授業の可能性(桑森真介)
http://www.meiji.ac.jp/koho/hus/html/dtl_0006068.html



                                         
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