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就任所感 社会に貢献する数理科学を目指して 大学院先端数理科学研究科長 三村 昌泰

予想を超えた環境変動、予測できない経済変動等によって揺れ動いている我々の社会はダイナミックに変動する巨大な複雑システムです。その複雑さは、要素の数が多いというだけでなく、複雑に絡み合っていることからきています。このような社会を理解するためには要素間の複雑な絡みを理解しなければなりません。本学はそれに応えるために「社会に貢献する数理科学」を掲げた先端数理科学インスティテュート(MIMS)が母体となって、2008年度よりグローバルCOEプログラム「現象数理学の形成と発展」を展開してきました。本研究科は、グローバルCOEプログラムの継承を目的として、2011年度4月、高度化・複雑化する社会において本質を見抜く能力と数理科学的技術を身に付け、国際的にも活躍できる若手研究者、高度専門職業人を育成・輩出する教育研究拠点として開設されたのです。

本研究科は、「なぜそのような現象が起こるのか」という疑問から出発し、その現象を、モデリングによって数理的な言葉に翻訳し、得られたモデルをこれまでの長い歴史の中で培われてきた数学を適用し、現象を理解・解明し、さらに予測するための方法論である現象数理学を教授します。そしてこのような教育を通じて、工学をはじめとする諸科学と数学の融合を目指す数理科学的思考および技術を身に付け、社会、産業界の様々な問題発掘および解決の出来る人材を育成することを目的としています。

本研究科教員は、グローバルCOEプログラムにおける教育・研究の経験を通して、自然、社会、生物等とのインターフェイスとなって現象数理学の発展に貢献してきた実績を持っており、他大学にはないユニークな研究科であります。

最後になりますが、本研究科は理工学部、農学部のある生田キャンパスで何とか教育環境を確保して教育研究を展開していますが、2013年4月に「国際化、先端研究、社会連携の拠点キャンパス」として誕生する中野キャンパスに移転することになっており、これを契機に新たな気持ちで頑張りたい所存であります。

(理工学部教授)