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植物工場での研究が本格化 初収穫野菜を試食

研究意欲モリモリ!光の色(波長)のちがいで甘かったり、苦かったり 作物生産効率向上のための種子発芽促進技術を説明する中林准教授

本年4月に生田キャンパスにオープンした植物工場基盤技術研究センターは7月14日、一般公開での説明・見学会をはじめて開催した。環境や人体に負荷をかけない食の安全安心と安定供給にかかわる新技術への関心の高さをうかがわせる150人超が集まった。

開会にあたり竹迫紘同センター長(農学部教授)は、「植物工場は商・理工・農・経営学部が連携し、総合大学の強みを活かした研究体制で推進される。その成果は2012年4月に神奈川県川崎市麻生区にオープンする明治大学黒川農場にもつながる。今日は、夢のある植物工場を見てほしい」と参加者を歓迎した。

続き行われた説明会では、「植物工場における作物生産効率向上」池田敬准教授(農学部)、「植物栽培における電位検知・光照射装置の利用」中林和重准教授(農学部)、「植物工場の光源について」三浦登准教授(理工学部)の3人が、研究内容や概要について講演した。

休憩を挟み同副センター長の宍戸良洋特任教授(研究・知財戦略機構)の案内で見学会が行われた。

初収穫野菜を試食


翌15日、池田敬研究室(農学部農学科生産システム学)の3年生9人は、研究の一環として、植物工場で生産された野菜を収穫、試食を行なった。

以下に寄せられた感想を紹介する。

伊東 脩さん
植物工場で実際に収穫した野菜を初めて食べてみて、お店で売っている野菜と同じくらいおいしいものを植物工場で作ることができるのだと改めて感動した。光の波長を変えて育てたものは見事に味にも違いが出ており、甘味のあるものや野菜特有の苦味のあるものもあった。個人的には白色光を照射したものが一番おいしかった。ますます注目を集めている植物工場、その施設を身近に利用できるメリットを最大限に活かし、これからの研究活動に励みたい。

村松真奈さん
光の色が違うだけでそんなに味は変わらないだろうと思っていた。予想は大はずれ。サラダ菜は赤色光がほんのりと甘味があり一番美味しく、青色光は苦味が強かった。水菜では味の濃さで色が異なり、赤色光は濃く、白は中間、青色光は薄く、3種類の中では白色光が食べやすかった。サラダ菜、水菜以外にも数種類の葉菜類を試食したが、どれも美味しかった。当てる光の色で味が変わる。今回の試食で、私は農学部の魅力を改めて感じることが出来た。そして、植物工場の野菜をもっと色々な人に食べてもらい、植物工場の凄さ、素晴らしさ、美味しさを知ってもらいたいと思った。

石川靖晃さん
植物工場で育てた野菜は無農薬で土を用いない栽培法で生産されていて、洗わずに収穫してそのまま食べることができる。

その中には光条件が異なる環境下で育てられたサラダ菜、水菜、からし水菜、ルッコラ、バジルなど多くの野菜があり、汚れもなく美しい見た目だった。

食味に関しては、バジル、ルッコラなど独特の風味があるものもしっかりとした味が保たれ、白色・青・赤といった光条件の異なるものは赤に味が濃い傾向があり、白はやや、青が薄い傾向にあるように感じた。

従来の農業にない環境制御技術を用いて、植物を最適な環境で栽培し、クリーンな状態で流通させることによって従来の栽培法より効率的かつ衛生的な新しい農業に明治大学が取り組み始めたことを肌で感じた。

柳田 燿さん
青は少し苦みがあった。白は味が薄めだったが、葉が柔らかく舌触りが良かった。赤は歯ごたえがあり、おいしかった。

土耕だと、根本に土が入り込み収穫してから洗わなければならない。しかし、植物工場では土はもちろん農薬も使っていないため、収穫してそのまま食べれるので画期的だと思った。

武田 彩さん
赤色の水菜と青色のサラダ菜が、他の色と比べ苦く感じた。

川村 拓也さん
水菜とサラダ菜では、水菜の方が光色による食味の差が感じられた。特に赤色光下の水菜で強い苦味を感じ、次に白→青の順で強い味を感じた。サラダ菜はわずかだったが、白色で苦味が強かった。どちらの野菜でも甘味、酸味の差は感じられなかった。洗わずにそのまま食べれるため、みずみずしくとても美味しかった。

福本 庄馬さん
正直光の色による味の違いはそこまで感じられなかった。しかし、土耕栽培で育った水菜は、かなりきちんと洗わないと土臭ささが残りがちだが、植物工場で育った水菜は土臭さは全くなく、とても食べやすく美味しかった。

新楽 健人さん
質感や見た目は普段、市販されている野菜より植物工場産の野菜の方が良いと感じた。

水菜は白色の光で栽培したものよりも、赤色・青色で栽培した水菜の方が生育状況も良く、味が濃かった。

植物に対して当てる光で生育や味にも影響がでるのか と大変驚いた。植物工場産の野菜は農薬を一切使っていないので、洗わずにそのまま食べられるというところに手軽さを感じた。

山口 政孝さん
~水菜~
青の光:苦みが強い
赤の光:独特の味が強い
白の光:まろやかで食べやすい

~サラダ菜~
青の光:ざらざらしていた
赤の光:食べやすく一番おいしい
白の光:赤とくらべると若干劣る味

~バジル~
小さいがしっかりと香りがしていた

~わさび菜~
あとからほのかに香り、わさびの味独特のピリッと辛い感じがしっかりしていた

~ルッコラ~
食べはじめはいいが、あとからの味がよくない

~全体~
葉菜類が幅広く栽培されていて収穫時期が早いせいか、サイズが小さいが、味としては全く劣りがない

栽培期間を短縮でき、季節に影響されないため、今後の農業で確実に注目され、ニーズが上がる最先端の技術だと思った。