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本棚 「講座・日本経営史3 組織と戦略の時代 1914~1937」 佐々木聡ほか 編著 (ミネルヴァ書房、3,800円)



日本経済が映像で海外に紹介される場合、焦点はもっぱら企業に置かれてきた。「戦後日本経済40年」を映像で紹介したNHKエンタープライズ『日本解剖』(全12巻、1987年)や、最近のバブル崩壊以降に注目したBBC Active『日本のバブル経済再考』(全3巻、2006年)等は、企業のあり方に最大の関心を払っている。

さて本書は、江戸時代から現代までを扱った『講座・日本経営史』全6巻の中の第3巻である。日本では両大戦間期に、近代的な大企業体制が成立したと主張する本書は、その最大要因を経営者の「組織と戦略」に求め、それを生産、流通、人事、金融等の側面より実証している。これまでの研究成果を駆使した、日本経営史研究の最新の体系的な成果である。

近年、日本企業に対する評価は大きく変化したが、ここらで一度、世界に発信されてきた日本の企業家像に再検討を加え、さらに国際的な視点から日本企業の過去・現在・未来について考えてみるべきではなかろうか。本書はその格好の手引書である。

横井勝彦・商学部教授

(編著者は経営学部教授)