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駿河台C地区整備計画

※CGによる完成イメージ。色や形等、竣工時とは異なる場合があります

開発面積 約3,200㎡
建築面積 約2,400㎡
延床面積 地下1階地上17階建て 約17,000㎡
全体工期 2011年7月~2013年3月
(解体、備品搬入含む)
コンセプト 「世界に発信する最先端の研究拠点と陶冶の場」を基本コンセプトとして、研究を重視した取り組みを学外にも広く発信し、本学の人文・社会系の大学院生の活動を一ヶ所に集約して教育・研究の拠点とする。他大学、自治体、企業などと連携しつつ多様な分野で国際的な研究プロジェクトを推進する。

座談 世界に向けて

駿河台C地区整備計画は、世界に向けての研究拠点として2013年4月竣工を目指す。ここで展開される大学院教育、国際的かつ先端的な教育・研究の展開について土屋恵一郎・常勤理事(教務担当)進行の座談を一部抜粋して掲載する。

※ 全文バージョンは現在、鋭意製作中です。

土屋
駿河台C地区整備計画による国際的な連携も含めて、それぞれのお立場からお話ください。

吉村
プロジェクト型研究というのでしょうか、教員が大学院生と一緒に共同研究を進めていくことが非常に重要で、大学院改革のために大きな役割を果たすと思っています。また、大学院全体としての国際化と、各研究科を横断する国際教育プログラムを展開します。例えば、人文系ですと外国から来る留学生の日本文化研究、社会系の場合は統計・金融など、東アジアをにらんだ企画です。大学院の教育としても、研究としてもやるということです。

土屋
将来の大学像として、どれだけ横の連携ができるのかということになりますね。

吉村
国際化という面ではいままで、国際連携本部、研究知財本部、大学院がバラバラになっていた。それを空間的にも同じところで、日常的に共同プロジェクトを国際的に発信できるシステムが整うということは、非常に大きな意味を持ちます。

土屋
プロジェクト型研究の象徴として国際総合研究所ができますが、どういう構図を描いているのかお聞かせください。

坂本
大学の研究は、個人的な研究からプロジェクト型の研究に変わってきており、ここではプロジェクト型の研究が本格的に根付いていくと考えています。その象徴が国際総合研究所で、世界に政策を発信する名実ともに国際的な研究基盤ができると思います。

土屋
課題であった研究面での活性化が進み、大学院との連携も含めて大学自身が変化していくチャンスですね。

坂本
大学院と一緒の建物ができたということは、まさに大学院生と研究者が、一緒になって、同じ建物の中で自由に行き来をする中でプロジェクト研究ができるわけですから、素晴らしいことです。

土屋
国際的な研究・学術交流がこれからはじまります。海外にはこういう形のものがずいぶんあります。明治大学はどういう形で国際的な研究を進めていくお考えですか。


たまたま現在中教審の大学院部会のメンバーになっているのですが、現在グローバル化や知識基盤社会の進展のために、大学院教育の質保障と向上が必要不可欠とされています。そういう中で明治大学自体を見ると、研究であるとか大学院の充実というのは、まだまだ発展する余地があるのではないかと思っています。先ほどからお話に出ているようなプロジェクト型でシナジー効果が得られるような、学際的な分野での研究というものも非常に注目されています。また、グローバルな意味での知識の集積といったものが大学の質を決めると言われるなか、今回のC地区整備計画はハードの拡充が契機になると思います。ソフトの拡充のオープン化というのも大きなキーワードの1つで、産学官連携ということが非常に重要視される中、広く社会に貢献でき、社会の知識基盤になり得るような国際研究が必要だと思います。

土屋
研究のグローバル化の展開についてはいかがですか。


いま文科省が政策的に展開しているのが、「リーディング大学院」と「世界展開力」などの国際化事業です。グローバル化がこれだけ進んでいる社会の中では、海外との教育研究連携はますます重要になってきています。例えば、経営学や経済学など社会科学の中でもスタンダードな形の英語での教育体系ができ上がってきている面があります。このC地区整備計画を契機として、特に国際共通語である英語での研究連携がフラットな形で進むことを期待します。

土屋
もう一つのテーマとして個人研究の施設的なバックアップはまだ十分ではありません。大学院長、研究担当の副学長として、どういう形の研究施設を考えていますか。

吉村
いまは、1つ1つ個人研究室が分かれていますが、例えば研究の場があって、その周辺に個人研究室を配置する形でやれば、いろいろ議論も活発になると思います。

土屋
昨年ハーバード大学のデザインスクールに行ったときに、大空間の中に仕切りが一切なく、ただ机がブドウ畑みたいに棚型のところに並んでいるんです。奥まったところにちょっと集まれる場所があって、誰がきょう来ているのかもわかるし、何かあれば手を挙げて集まり議論もできる。人文系や社会科学系ですぐできるかどうかわからないですが、そういう研究室や研究棟があってもいい。

吉村
いまは、誰が来ているかトントンとしないとだめですよね。本来、共同研究をする場所があって、その周辺に弥生時代の環濠ではないですが、周りに部屋がある。扉があるないはいろいろ問題があるかでしょうが、いま小学校でも中学校でも扉がないところがずいぶんできてきて、非常に効果があると聞いています。

坂本
私も大賛成です。壁はもう必要ないと思います。経営学の私の分野で言っても、企業では書類や壁をなくして、自分のパソコンだけをきちっと保管していて、そして自由に座ってどんどん仕事を有機的にやっていくという時代に入ってきています。研究もいずれそういう形で壁を、ドアを取り除いて、みんなが一緒に集まるのではないでしょうか。


ハードが変わるというのは、ソフト、中身が大きく変わることになると思っています。坂本副学長が2年前にUTM(マレーシア工科大学)に行かれたときに、国際会議場をご覧になって、ああいったものが明治にあればいいなと言われていました。もちろん今でも学会は毎週学内のどこかで開催されていて、それはそれで非常にいいと思いますが、フラットになった形での国際会議場というものがあると、研究者が集いやすいものになってくるし、それを大きく活用することによって、ソフト面を大きく変えていくことも可能なのではないかと考えています。

土屋
大学の中で毎日のように世界の第一線の研究者が主催する小さなコロックが行われているのが当たり前になるとよいですね。国際会議場もできて、いつでも学会だけではなくて、もう少しインティメートで小さなレベルで毎日何かが行われていて、それに学生が参加すれば、研究の質も全体も変わる。日本で一番人気のある大学は、世界の研究者にとっても人気のある大学になるといい。吉村先生、勝先生、坂本先生、お3方とも同じようなアイデアを共有していらっしゃる。きっといい施設になることと思います。