Go Forward

東日本大震災に思う 学長 納谷廣美

今年は従来のような一般報告を省略し、学長の挨拶としては東日本大震災に関しての状況報告、そして皆様のご協力に対する御礼と更なるお願いにあてさせていただきます。

今年創立130周年を迎え、当初は「志願者数日本一」ということで好スタートを切ったと感じながら大学の運営にあたっておりましたが、3月11日の東日本大震災があり、状況は一変しました。大学として、どのような事態対応をしていくべきか。われわれ教学関係者は様々な協議を重ね、かつ対処に大変厳しい3月・4月になりました。ご存知のように、卒業式及び入学式は挙行できませんでしたが、放射能漏れ事故の事態(危険)推移、余震の可能性及び電力事情等を考慮し、学長としても苦渋の選択でありました。

震災当日は私も大学におり、午後4時近くには被害状況に関するメディア映像を大学の情報機器を通じて配信いたしました。その後も、市民の皆様がこのリバティタワー、そしてアカデミーコモンに集まり、最終的には本学の学生を含め2000人を超える人達が、ここで一晩過ごしました。乾パン、水、毛布も配布しました。和泉や生田のキャンパスでも、数百人の人達に対し、同様の対応を行いました。この明治大学の対応は、数ある大学の中でも素早く、かつ適切なものであったと、各方面から評価されております。私も一晩この駿河台キャンパスにいて、学長としていろいろな人の声を聞いて、考えて、そして「このような時こそ、社会に貢献すべきだ。明治大学はそのために頑張るべきだ」と決意を新たにしました。

大学には、人材を養成する使命はもとより、世界に向けて、日本人の心のやさしさや物事に対する姿勢など、日本の素晴らしさを発信する使命があります。この視点のもと、震災の復興や復旧支援を行う明治大学の姿勢は、大学間のみならず、社会においても高く評価されており、今後のモデルになりうるような教育活動になると思います。例えば、校友の皆様をはじめとして多くの方から寄付を頂戴して、この震災で被災した在学生・新入生に対して奨学金及び学費免除等の支援を行うことを決定するとともに、その他被災された方々に対しましても様々な面からサポートさせていただいております。多くの支出がありますが、どんなに費用がかかっても、明治大学で学び続けたい学生、大学に進学したい子ども達の望みを大切にして、教育に邁進していくという姿勢を示し続けたいと思っております。ぜひとも全国の校友の皆様、「明治に行って学んできなさい」、「明治で世界を見てきなさい」ということを伝えていただきたく、このことを切にお願いしたいと存じます。

最後に、校友の皆様からの激励のお言葉とご支援に対し、改めて心より感謝を申し上げます。