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創立130周年記念公開講座 in 札幌 東日本大震災から何を学ぶか



明治大学は10月30日、明治大学校友会北海道支部(水野弘作支部長)と共催で、創立130周年記念公開講座・明治大学校友会寄付講座「東日本大震災から何を学ぶか—安全・安心な日本をめざして」を京王プラザホテル札幌で開催し、定員となる250人が受講した。開催にあたり明治大学北海道各地区父母会が協力し、札幌市・札幌市教育委員会・札幌商工会議所が後援した。

テレビ北海道の丹羽真由美アナウンサー(本学校友)の進行のもと、理工学部の向殿政男教授と北野大教授による講座は、向殿教授が「日本の安全を根本から考える」、北野教授が「安全・安心な社会を目指して—食料と水の安全・安全保障」をテーマに行われた。

向殿教授は講義で、「原子力発電は極めてリスクの高いシステム」と前置きした上で、「想定外は起こり得ること、安全の基本は情報を公開すること。1万年後の人類に高レベル廃棄物が埋まっている場所をどのように知らせるかだ」と問題を提起し、「安全と安心は違うもの。『安全』は科学技術に裏付けられた客観的なもの。一方『安心』は主観的なあいまいなもの。『安全』と『安心』をつなぐのは、安全なシステムを実現している人や組織への信頼。信頼は情報を隠さずに公開することから生まれる」と安全学の見地から原発問題解決の糸口を示した。

続き食の問題を取り上げた北野教授は、「(1)食糧自給率を上げること、(2)農業の環境負荷を減らすこと、(3)食糧廃棄物を減らすこと」と問題解決のためのポイントを挙げた上で、「マイナスのイメージが強い農薬も、収穫量を安定的に確保し、除草などの重労働から人々を解放した利点もある。自分が嫌だから農薬や食品添加物を『使用するな』と言うのではなく、正しい知識をもち、一人ひとりが安全で安心な食を考えることが必要だ」と学ぶこと、知ることの重要性を説いた。

講義に引き続いて、司会を交え向殿教授と北野教授2人が、受講生からの質問に答える形式で対談。「フェールセーフ(一部に故障や誤操作があっても安全なほうに作動する仕組み)な原子炉は可能か」、「安全・安心な農業とTPP問題」、「原子力発電」などの様々な問題について、活発な議論が行われた。最後に、「自然豊かな北海道は、日本の食糧供給の拠点となることが望ましい」と結ばれ、受講生の熱気にあふれる公開講座を終了した。