Go Forward

創立130周年記念公開講座 in 名古屋 江戸時代の異文化コミュニケーション



明治大学は11月19日、明治大学愛知県校友会支部(西脇司支部長)と共催で、創立130周年記念公開講座「江戸時代の異文化コミュニケーション—朝鮮通信使と東海地域に残る唐人踊り」を名古屋マリオットアソシアホテルで開催し125人が受講した。開催にあたり明治大学愛知県父母会・愛知県・愛知県教育委員会・名古屋市・名古屋市教育委員会・中日新聞社が後援した。

情報コミュニケーション学部の須田努教授による講座は、明治大学の生涯学習機関であるリバティアカデミーで実施している3回分を凝縮したもので、専門的ながらも充実した内容となった。

朝鮮通信使をめぐる日本と朝鮮のそれぞれの思惑の違いは現在の国際外交にも通じるものであり、日本が神功皇后の三韓征伐や豊臣秀吉による朝鮮出兵などをふまえた武威による朝貢外交として捉えていたが、朝鮮はたびたび武力で脅かしてくる野蛮な日本を儒教的徳治国家に変えること及び日本の情勢を視察することを意図したものであったと説明。

朝鮮に対する武威を強調したのは幕藩体制の支配階級であるが、民衆レベルにおいても浄瑠璃や歌舞伎を通じて、日本の武力に屈する朝鮮というイメージをふくらませ、やがて近代に入ると征韓論とつながる下地は、日朝相互の価値観の違い、良好でないコミュニケーションから作られていったと解説した。一方で、異文化との良好なコミュニケーションが機能した結果として、朝鮮通信使を通しての異国への憧れが、祭りという日本の民衆文化のなかに融合され、日本各地に残る「唐人踊り」が誕生し今日まで継承されていることも指摘した。さらに、津の「唐人踊り」や豊川の朝鮮通信使を模倣した「笹踊り」が、なぜこの地で行われるようになったのかを歴史的に検証し、歴史研究は「仮説を立て資料を探し実証する」謎解きの楽しさでもあることを紹介した。