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論壇 ヒューマンネットワークこそ 明治大学躍進の原動力 経営企画部長 大野 友和

このところ大学経営の在り方に関する議論が多く見受けられる。私立学校の設置者である学校法人は学校を経営し、法人を代表する理事長が最終的責任を持っている。また、学長は大学の代表者として、大学のマネジメントに責任を持ち大学運営を行っている。法人と大学のガバナンスの問題も古くて新しい課題と言えるが、法人と大学(教学)の関係は適度な緊張感を持ちながらも、組織目標の達成のために一体となって活動を展開していくことが必要であろう。

ここでは、私が所属する法人部署である経営企画部の役割・使命を紹介したい。当部には企画課、広報課、校友課の三課があり、それぞれの課の事務分掌事項に基づき業務を推進している。当部の役割は、経営的観点から政策を取りまとめて提言し中長期計画の企画・立案及び組織制度の改革を行うとともに、本学に対する支援を強化するために校友会と連携しつつ、戦略的広報に基づく情報発信により、学内構成員の帰属意識の醸成及び本学の社会的評価の向上を図ることにある。

法人経営に関する政策策定等は企画課の担う業務であり、具体例としては、法人の事業計画、中長期計画(長期ビジョン)等の策定、事務組織改編等がある。そのほか、公的補助金獲得策、所轄庁に対する諸申請、付属校・系列校政策の推進、法人連携事業の展開、大学情報の調査・統計などがある。

広報課は、理事会諸活動の発信、学長の下で展開される教育、研究そして社会連携等の諸活動のほか学生を中心とした文化・スポーツ活動の情報発信を担っている。広報の役割は、学生、教職員、校友・父母等のステークホルダーに対する情報の伝達、および社会一般に対し大学の情報を印刷物、ホームページ、マス・メディア等を使ってきめ細かく効果的に伝えていくことが大切なことである。これらの広報は、経営企画担当常勤理事を本部長とする広報戦略本部の下で「新たな価値を創造する戦略的広報を目指」し、『世界』に向けて広報活動を展開しているところである。

校友課は、校友会の事務局業務を担当し、大学が保有する卒業生50万人余の個人情報を管理している。さらにホームカミングデ—の運営をはじめ、事務局として校友会の代議員総会、正・副会長会、支部長会等の運営を行い、それらを通して卒業生の明治大学を愛する気持ちの醸成と大学翼賛意識の高揚に努めている。本学で学び薫陶を受け社会に巣立った卒業生の評価は本学の評価そのものである。例えば、政治の世界で活躍している方々は現時点で13人の国会議員、40人の首長(市区町長)、77人の都道府県議会議員(2011年6月現在)、約200人の市区町村議会議員がいる。昨年は本学出身都道府県議会議員との会合を持ち、今年は本学出身全国首長との意見交換会を開催した。これら卒業生の本学に寄せる期待は極めて大きいものがある。私はこれら明治大学卒業生のヒューマンネットワークを強化・拡大していくことが、明治大学躍進のための原動力であることを強く感じた。

高等教育機関を取り巻く厳しい環境の下、大学の健全な運営、適正な事業遂行、そして建学の精神等に基づく教育・研究活動を発展させるためには、法人と教学が共通の現状認識を持ち、一致した基本政策の策定及び推進が求められよう。そのために現在、創立150周年を見据えながら、今後10年間の強化の方向性及び理念を定めるためのものとして、法人及び設置学校における全体的な長期ビジョンの策定を進めているところである。