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論壇 新時代の研究推進へ 研究推進部長 髙山 茂樹

本学の研究は、外部研究費の獲得件数の増加に伴い、研究内容の多様化と国際化が顕著になっている。公的研究費の獲得は、科学研究費助成事業(科研費)の採択金額だけを見ても、2011年度は4億9000万円に達し、2007年度比では約2倍に拡大した。加えて受託・共同研究並びに文科省、厚労省、経産省等の公的研究費の採択金額も堅調に推移しているが、今後は研究費毎の複雑な使用制限および説明責任を果たすべく、研究費の適正執行に資する人材育成が急務となる。

研究の多様化は、研究体制の整備や改革の取り組みが正鵠を得た結果と言えよう。従来の3研究所(人文・社会・科学技術研究所)を「基盤研究部門」として「研究・知財戦略機構」の下に再編し、全ての研究者が自由に「研究ユニット」を組織できるものとした。更に同機構内に、期間を定めた重点領域研究プロジェクトを推進する「研究クラスター」や、世界的研究拠点の創出を目的とした「特別推進研究インスティチュート」が次のとおり設置された。

  • 国際総合研究所(2011年4月~)
    学外から拠点リーダーを招き、国際的な諸問題に関わる政策提言型の研究を行う。将来的には学外資金によるグローバル展開を目指している。
  • バイオリソース研究国際インスティチュート(2011年6月~)
    次世代の医療技術開発と生物資源の創出を目的に、明治大学を中心に国内外の大学・研究機関・企業等の有機的ネットワークによって構築された国際研究組織。人工的に糖尿病となった病態モデルブタの研究で、臨床との橋渡しを行う。
  • 先端数理科学インスティチュート(2008年1月~)
    社会との関わりを重視した数理科学の発展・普及を図ることを目的に、社会および自然に係る現象の数理的解析を課題とする国際的研究拠点。「現象数理学」として新たな学問領域を確立し、世界トップレベルの研究拠点としての役割を担う。
教学における中期的な方針「明治大学グランドデザイン2020」の中で、「研究」は、『専門領域において世界水準の研究成果を創造し、また、学際的な研究により社会的な課題に対応する』と明記された。今後は、研究のグローバル化と現代性を実証しつつ、その成果を社会にどのように還元していくのか指し示さなければならない。

本学の研究を推進する立場であれ、支援する立場であれ、いずれにしてもそこに携わる個々の意識と行動が基本となる。「いつか、誰かが、どこかで」ではなく、「今、自分が、この場所で」との意識を持って、国内外の評価に耐えうる成果を勝ち取りたい。“世界の明治”となるために、一人ひとりが高い意識を持ち“オール明治”の力を結集することが必要だ。