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大学院 第2回 明治大学・高麗大学校国際学術会議 「東アジアの中の韓国と日本」をテーマに



文学と歴史、それぞれの立場から、基調講演を行った高麗大・沈慶昊教授(上)と落合教授(下) あいさつをする合田正人・大学院文学研究科長

明治大学大学院は1月26~27日に駿河台キャンパス・リバティタワー16階で、高麗大学校文科大学と共催で「第2回明治大学・高麗大学校国際学術会議」を実施した。昨年3月29日~30日に韓国・ソウルの高麗大学校で行った第1回の学術会議をうけて開催したもの。

学術会議の全体テーマは「東アジアの中の韓国と日本」であった。26日午前は、高麗大の沈慶昊教授・鄭泰憲教授、明治大学の日向一雅教授・落合弘樹教授が基調講演を行った。最初に文学研究の立場から、沈慶昊教授が正祖大王の「古風」について、日向教授が平安文学の自然表現について報告した。次に歴史研究の立場から、鄭泰憲教授が日韓の歴史認識格差について、落合教授が明治前期日本の朝鮮観について報告した。

午後は、AとBの2会場に分かれ、両大学の教員が発表を行った。A会場では、高麗大の金彦鍾教授、李相雨教授、金基珩教授が漢文学・韓国近代文学・パンソリについて、明治大の牧野淳司准教授が日本中世文学について報告した。また、ニュージーランド・オークランド大学のLawrence E.MARCEAU教授が日本江戸文学について報告した。B会場では、高麗大の李鎮漢教授、朴大在教授、姜制勳教授が高麗時代対外貿易・竈信仰・朝鮮時代国家儀礼について報告した。また、北京大学の徐勇教授、台湾政治大学の朴炳善教授が中華文武関係伝統・韓国語様態表現について報告した。

27日はA・B両会場で、研究発表を行った。明治大学兼任講師の西野入篤男氏、早稲田大学非常勤講師の龍野沙代氏、高麗大研究教授の李炫承氏、呉在爀氏、曺銘根氏のほか、明治大学大学院生6人、高麗大大学院生7人、立教大大学院生1人が発表した。明治大学院生の発表に対しては高麗大の院生が、高麗大院生の発表に対しては明治大学の院生がコメントと質問をした。双方の研究方法や問題意識の違いを認識するよい機会となった。このほか、明治大の教員・院生6名が論文を発表した。口頭発表者の発表原稿とともに予稿集に収録された。

2日間を通して、教員19人・大学院生14人が発表するという過密スケジュールであったが、外部参加者も含めて100人程度が集まり議論は盛り上がった。発表分野は日韓の文学・語学・史学にわたり、考察対象とする時代も古代から近現代までさまざまであった。まさに東アジアにおける日本と韓国の文学・歴史を総体的に見わたす場となった。

今後、明治大学大学院文学研究科と高麗大学校文科大学とは、学術交流を一層発展させることを期している。そのために来年度は高麗大で第3回の学術会議を開催することを約束して閉会した。(牧野淳司 文学部准教授)