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祝辞 豊かな人生を創造しよう 理事長 長堀 守弘

春の息吹を感じるこの佳き日、卒業生諸君並びにご家族の皆さま方に対し、心よりお祝い申し上げます。晴れやかな門出に際し、学生生活をあらためて振り返ると、素晴らしい思い出も、苦い思い出もあることと思います。これらは、現在の諸君を形成した一部であり、生涯のかけがえのない成長の証であります。卒業生諸君は建学の精神である「権利自由」「独立自治」を基本とした人格の陶冶に励んだわけであります。ご家族の皆さま方には、入学時と比べ、見違えるように立派に成長した卒業生諸君の姿を前にして、感慨もひとしおと存じます。

現下、日本も含めて、世界は激動の大変革時代を迎えております。政治・経済・社会の変化は、18世紀産業革命以来の、或いは19世紀中期の明治維新に匹敵する世界大革新と申しても過言ではないでしょう。しかし、世界における急速な変化と産業の合理化、そして、それに伴う環境への影響等もあり、現代社会は修正が求められています。

さらに、2011年3月11日に発生しました人類史上稀にみる東日本大震災は、社会のバランスを崩壊させるほどの脅威を与え、我々の考え方の根底に影響を及ぼす出来事となりました。この体験は諸君の心にも深く刻まれ、多くの教訓が得られたかと思います。科学技術立国である日本はこれを乗り越えるべく国民が手を取り合い、思いやりの精神を抱き、それぞれが英知を発揮していくべきであります。

生産性や成果ばかりを追い求めた高度経済成長期は遥か昔の出来事であります。現代社会において必要不可欠なものは、「人間性」そして「理解と寛容のこころ」であり、人々が連帯意識を持ち、未来を生きる人々のために何が残せるのかを考え、これを継承していくことではないでしょうか。また、世界は国際化の時代を迎えています。大きな自信を持って、これから日本のみならず世界でグローカルに活躍されることを期待しています。

卒業は教育課程における一つの区切りではありますが、学ぶことに終わりはありません。どうか本学で学んだことを礎とし、これからの諸君に課せられた使命を全うすべく日々研鑽に努め、着眼大局、着手小局の姿勢で物事に臨み、豊かな人生を創造していくことを願っております。諸君はこれから「校友」として、明治大学の未来を築き上げていく一員になります。昨2011年に本学は創立130周年を迎え、来るべき150周年に向けてのスタートを切りました。卒業されても終生、明治大学と密接な関係を継続して欲しいと願います。

結びとなりますが、諸君らのこれからのスタートにおける成功を願い、社会でよりいっそう活躍されることを心から祈念し、はなむけの言葉といたします。

【卒業式次第より転載】