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無人放射線観測ロボット『セレス』 汚染地域での活躍に期待広がる 黒田洋司准教授(理工学部)

ローマ神話に登場する豊穣神・地母神である『セレス』のように

理工学部機械工学科の黒田洋司准教授(ロボット工学研究室)らの研究グループは2月21日、開発した無人放射線観測ロボット『セレス(CERES)』(=Continuous Environmental Radioactive Emission Surveyor)の初期動作試験を神奈川県産業技術センターで成功させた。

『セレス』は環境放射線の移動観測ができる無人ロボット走行体システムで、空間放射線量や観測地の画像データ、気象データを収集し、一定間隔でサーバーに送信する。

携帯回線を利用した通信機構を持ち、自律的にインターネットに接続してGPS座標や方位角などの情報を送信できるため、パソコンや携帯端末での遠隔操作が可能。走行時に障害物を自動的に回避する機能も備え、活動に必要なエネルギーは大型のソーラーセルとバッテリーで全て自己給電できるため、長期間にわたる独力での放射線観測活動が実現する。

黒田准教授はこれまでもJAXA(宇宙航空研究開発機構)の協力研究員として宇宙ロボットの研究に携わっており、小惑星探査機「はやぶさ」に搭載されたロボット「ミネルバ」の研究開発に貢献。今回の『セレス』開発にあたっては、これらの研究成果も活用された。

黒田准教授は今後、同システムのハードウェアの信頼性を高める実証試験を繰り返し、年内には福島第一原子力発電所20km圏内で長期モニタリング活動の開始を目指したいとしている。被災地の本格的な復興に向け、一日も早い『セレス』の本格運用が待たれる。